現代のパトロン?
ライブをいっしょにやった定年リタイヤしかけサラリーマン兼ピアニストが、古いプロベーシストと昨日ライブをやったという話になった。
ボーカルとピアノ、ベースでお店も小さくお客さんも少ないがしっかりとギャラが支払われてありがたいと。
聞くとボーカルは開業医の女医で水曜日が休診日なので、唯一ライブができると。開業医なので、まあ金銭的に余裕があるのか趣味でライブをブッキングして好きなミュージシャンを呼んでお客様は関係なくギャラを払うと。
そういう方は貴重だ、とピアニスト。
古い話だとセロニアス・モンクにパトロンがいて引退後もその方にお世話になったというのも有名だ。レベルは違うが、まあプチパトロン的と言えるかもしれない。
そういう方に気に入られることは大切なことです、と。
まあ、日銭的に言うとそうかもしれないが、音楽的にはどうなのかしらね…。
モンクみたいな奇才は音楽的にそれを見つけて支持する人がパトロンになるのはわかるけど、普通のミュージシャンは媚びだけになっちゃうかもしれませんね~。
不協和音と不協リズムと
ジャズは範囲が広い。
一口にジャズと言っても、美しいバラードから何演奏しているか理解に苦しむ騒音のようなフリージャズまで多岐にわたる。ジャズというカテゴリーは雰囲気としては大きな分類に属するも、細分化していくと広すぎるのが実情だ。
なので、ジャズが好き、と言われてもジャズ好き愛好家同士が真に好む分類はかなり異なっていたりする。
私はどういうわけか、少しの規律と大きな自由さ、そしてガシャッとした騒音のようなものに、美しさとグッとくるものを感じる。リズムで言えば4ビートとフリーの間のようなものがいい。美しい旋律だけでなく不協和音的なものがちょろちょろ入ると、いぇ~っとなる。
そういう好みを考えていくと、何もメロディがなくてもよいわけで、4ビートとフリー、そして不協和音的音が乗せられていると成り立つ音楽もあることになる。
「能」を題材に作ってみたのがこちら↓。
何を題材にしても、この手のものは成り立つと思う。
一人で作れるのも面白いが、まあオタクの領域ではありますね。。。( ^^) _旦~~
ということで、ジャズのCDを作ってみることにする(その7)
マスターCDを作る必要があり、DAWを買おうかと渋谷の機材専門店に行く。
32bitの編集ソフトを比較しながらも、youtube用に動画編集したのと同じシーケンサー音源とドラム録音を重ねる作業をたまやるのは面倒だなと。
動画の音質は320kbpsのMP3なので、元の音源WAVからすると劣化してる。
ここは妥協は許せん。。。しかし、ホントに許せんレベルなのだろうか?
ネット調べると何個かWAV非圧縮とMP3の320kbpsと128kbpsを並べた、「あんたは違いがわかるか?」サイトがあった。
数種類の音源に対してクイズ選択させる。
さすがに128kbpsは間違えないだろうとヘッドフォンATH-M50xで聴くも6クイズ中1つを間違える。ましてやWAVとMP3の320kbpsは、すごく集中して2/5正解だった。これは勘の域を脱しない。
CDは16bitだし32bitの編集ソフトで頑張って編集し直しても、ほぼ大差ないだろうというのが結論で、面倒な編集を新たにやり直すのはやめてMP3の320kbpをそのまま使うことにした。
ということで、マスターCDを作り郵送。
追加料金1500円払うと音承盤というのを返送してくれてチェックできるというので、それで頼む。
デジタルでパソコンで焼いたCD-RをちゃんとしたCDの版にしたろことで音なんか変わらないでしょ…。
と思って送られてきた音承盤を聴いてびっくりした。
音がまとまって、よくなっとる!
コレハドウイウコトナンダ?
(つづく)
演奏する際に籠める想い
ジャズには歌詞があったり、映画の主題歌なんかで曲に意味があるわけだが、演奏者が演奏する際にこれをどこまで意識するかは、それぞれ大きく異なる、、、…と、思われる。
こう言ったら何だが、私はまったくそういう想い入れを曲に対して入れてないことに今さら気付いた。純粋に楽曲に対するドラミングの対応に集中するのみで、曲の背景は一切演奏中や演奏の前後に想ってはいないのだ。曲のモチーフに対するエモーショナル的なものは全くなく、曲の純粋な旋律のみに感覚を委ねていることを認識した。
というのは、先週ヒロ川島氏のライブでピアニスト遠藤征志コーナーというピアノソロやピアノトリオを演奏する場があり、ここで遠藤氏が作って間もないオリジナル曲をベースやドラムと合わせたことはないが演奏したいともってきたことで、これに気付くことになった。
彼は東日本大震災での想いや身近で若くして病で亡くなってしまった方への想いで美しい旋律の曲をたくさん作っている。演奏を通して震災へのチャリティーなども積極的にやっているアーティストだ。その活動は私もよく知ってるし彼のその想いのCDも買って何度も聴いている。
先週演奏した彼のオリジナル曲は亡くなった方への想いであるというのを、演奏後に聞かされた。
遠藤氏は演奏前にその想いを私とベーシストに伝えようかと迷ったあげく、あえて伝えずに演奏に入ることにしたと。
演奏後に、彼からその想いを聞いて考えさせられた。
彼は強い想いをもって演奏している。ドラムとベースはその背景を一切意識することなく、旋律に集中している。もし事前にそれを聞いてたら演奏は変わったのかしら。。。
というようなことを考えたとき、私は今まで一切曲の背景を想い描きながら演奏したことはないことに気付いた次第。それがよいのか悪いのかはわからない。
リー・コニッツは同じようなことをインタビュー本で言ってたような気がする。エモーショナルなものはなく、自分はただ旋律に反応していく、みたいなことを。
演奏者ですらそういう状態であるわけで、オーディエンスはさらに個々人の想いで曲を聴くだろうし、いやー、音楽って面白いですね。
予想外にえらいことになった「ドラマー祭り」
大阪西天満の「いんたーぷれい8」で昨年ドラマー祭りという企画が行われた。
大阪の知り合いサラリーマンドラマーから誘われ、ドラマー6人が参加してフロントとピアノ、ベースは同じでドラマーの違いで音楽がどう変わるかを聴衆に聴かせようという、そんなんに人が集まるのかわからんがやってみるという企画だった。
しかも、参加ドラマーの中にはヨーロッパで活躍する日本人唯一(だろう)ECMミュージシャン
のShinya Fukumori氏やニューヨーク帰りの爆音プロドラマー岸くんとかもいると。
昼の仕事の出張をそこに当てて参加する目論見は外れ、自腹というか普通に私は東京から大阪に出向いた。
1週間前に主催者ドラマーから構成と曲の発表があり、それは皆がなんとなく考えてものとは大きく違った。
・1セット目:サマータイムを順番に演奏。演奏順は直前のくじ引き。
・2セット目:ブルーボッサを順番に演奏。演奏順はじゃんけん。
・アレンジ、譜面用意は自由。ただし事前にフロントメンバー等とリハしてはならない。
各ドラマーはジャズマンなので、まあなんとなく曲の構想を思いながらも物事深く考えずに当日集まった。こんな企画に誰が集まるねん、と主催者ドラマーは気にしてたが、数十人のお客さんで満席大賑わい。おっと…。
ドラマー6人が集まってやあやあとやってると、皆の頭の中で共通の大きな課題に直面することとなった。
「これ、前のドラマーがやったリズムやノリ、雰囲気で同じ曲を演奏するわけにはいかないやんけ…」
これに気付くとECMミュージシャンも含め6人全員がかなり緊張することに。だって今から演奏するのにステージ上でくじ引きして演奏開始で連続なので、考えて来た構想もへったくれもなく、前に演奏した人の様子を聴いて即座に違うアレンジをフロントに伝え、しかも満入りのお客様の前であまりにもカッコ悪いことは出来ないからだ。
とにもかくにもくじ引きから始まった。
私はフリー系アプローチをとる可能性が高いということで、フロントのアルトが初っ端に私と演奏することは極力避けたいとその場で公言してたのに、見事に私が1番くじを引いてしまった。
私もかなり緊張し、バスタム下に置いた水を演奏直前にこぼすなど、あまりそういうことをしない人なのに珍しいミスをして、演奏が開始された。
私以降のドラマーは前に演奏したドラマーパターンからの脱却に苦しみながら、やけくそになったりしながらも異なる雰囲気の演の奏をし終えた。お客さんには全体の行程の面白さも理解されてライブは予想外に一体となった。
とりあえず、6曲連続のサマータイムは終了。
小休憩を挟み、続いてブルーボッサ6曲連続。
じゃんけん勝った人から演奏順番を決めるというルール。こんな企画やらへんかったらよかったとサマータイム終了後に嘆いていた主催者ドラマーがトリになるという、見事なオチ。
サマータイムよりブルーボッサの方が普段演奏するバリエーションは少ないので、これまた難しいことに。しかも、ドラマー側としては1セット目と同じパターンは繰り出せないという悩みを抱えることになった。やってみて気付く直面する問題といったところかw
まあ、そんなこんなでドラマー全員こんなに苦労するライブは空前絶後ということで、元々主催者ドラマーはこれがウケたらシリーズ化してもいいと言ってたものの、「2度とやるかい!」となり、フロント、ピアノ、ベースも「もうこんなんは出来へん!」と初回Vol.1で終了することになったのでした~。あ、お店側はまたやってくれと。。。( ^^) _旦~~
動画編集の面白さ
youtubeにジャズの動画をアップするようになって数年経つが、動画編集というのはけっこう面白い。
編集作業は面倒ではあるが、タイミングの調整は音楽のセンスに共通するようなものが多分にある。画面の切り替わりタイミングや、編集で入れる文字のONとOFF、フェードアウトの時間感覚など。
編集中に再生させ、ちょっと微妙に早いなとか短いなとかを見ながら調整していく。
ジャズ演奏中にドラマーが何を考えて音に反応しているのかを漫画みたいに吹き出し入れて解説しているものは、その吹き出しを入れるタイミングは実は微妙だったりする。
また、この動画は左横の壁に譜面を画像処理で入れている。
音の編集も面白いが、そのサウンドに対して動画でどう見せるかのデザインを考えて作っていくもの面白い。
デスメタルとジャズを融合させてみるという騒音のようなサウンドを作ろうと思って作業しているうちに音の組合せだけでなく映像も遊び心を入れたくなり、シーケンサー演奏の手が映る部分の色を気持ち悪くして、それだけでは飽き足らずデスメタルで使われる骸骨などのモチーフも入れたのが、こちら。↓
実際に編集作業しているとセンスも知識も身についていく。
そして、これは昼の仕事にも直結する。IT系の画面デザインやハードのデザインに関しても意見を言い指導をし、デザイン専門家メンバーに対しても対等に議論できるのだ。
なぜならこういう編集作業を通して実作業をやっているからw
普通上の立場や横の立場から専門家のデザイナーがいろいろ言われたら、わかってないクセに…、と裏で文句を言いたくなるだろうが、個人の実績があるとまったくそうはならないわけで、逆に知見を聞いてくるようになる。
昼の仕事も課外活動も結局は繋がっていくのです。。。
ということで、ジャズのCDを作ってみることにする(その7)
値段は1000円にしようと思い、いんたーぷれい8のマスターに相談する。インディーズやし、それでいいよと。100枚1000円で売れるとトントン。
200枚刷ったので、名刺代わりにあげるケースもあるだろうけど、まあトータルでトントンぐらいになる、かな。。。
私はけっこうパロディ好きなので、CDのキャップ(CDの外側についている細い紙)のバーコードを意味のない円周率にしてみたり、このCDは著作者の云々で勝手にコピーしてはならない、というくだりを、同じテイストの書き方で「配布してもよい」みたいな著作権放棄&自由に使ってよい文面にした。
よーく見ないと気付かない遊びだ。
バーコードもウェブで作成ツールがある。誰かに頼まなくても数字さえ確定させておけばウェブで済むわけだ。
CD製作会社にデータをネットにアップし、マスターCDを郵送したら、メールが来た。
ジャケットの画質が解像度不足でモアレが出るとのこと。
モアレとはノイズというかゆらぎみたいなもので、写真が不自然に見えてしまうデジタル処理上で出る現象のこと。
解像度高い元画像から作りなおそうかと思ったものの、このスマホ&クラウド時代、違うアプローチがあるような気がしてウェブを探したら凄いのがありました。
AIを使って低解像度の画像を高解像度にするフリーのウェブサービス。
「waifu2x」を試してみると素晴らしい。JPEGのノイズを消す処理も入るではないか。
このCD製作してなかったら、こういうのに気付くのに時間かかったかと思うと、やはりいろいろやってみるのが知見を高めることだと気付く。昼の仕事への知見にもなるのだ。
(つづく)