アーティストは老後の心配をしたらダメなような気がする
資産運用をしなければならない。退職時点でうん千万円ないと先行き真っ暗。
こういう情報が散々飛び交い、あちこちで目にする。
近所にも75を超えて自治会なんかで活躍する人をたくさん知っているので、長生きは普通になっていることを考えて必要なお金を逆算することは出来るだろう。
これをきっちりやる人も多いが、ことミュージシャンやアーティスト活動をする人においてはどうなんだろうかとも思う。将来を大丈夫なようにお金の計算をするということは、かなり保守的に限定された部分に活動領域をとどめる調整をするということでもある。
そういう人が新しい何かを創造していけるのかと言えば、根底の考えからして違うのではないだろうか。
私は資産運用に一切興味なく昼の仕事面では、かなり将来設計ダメダメ部類に映っているだろう。サラリーマンミュージシャンからは資産ポートフォリオの大事さを説かれたりもする。が、株運用もやったことない。もらったことはあるが、即売っぱらい手元に置いて運用したことはない。
運用を考えた瞬間、どうなるかわからないような芸術は生み出せないような気がする。自分が生み出せているかと言えば、うむむ、ではあるが挑戦はし続けていきたい。
そうやって下流老人になるんだろうなぁ。。。
ダブルワーカー
今週は夜の仕事が1日も入っていない平和な週であった。
「音楽、いい趣味ですね」と言われるが、多少なりともミュージックチャージとる店で演奏するのは職業的ミュージシャンの端くれとして責任を意識せざるを得ない。
集中して昼の仕事を効率よくやり、夜の仕事に早めに入る。
ダブルワーカーなのだ。
バンドによってはクリエイティブなトライや、冒険的アレンジに挑戦しても大丈夫なケースもあるが、BGM的にした方がよい場などもある。
よりよい演奏にするためにモチベーションをどこにもっていくのかは自分自身の毎度の課題であり、うまくいかない場合もある。演奏は卒ないが、自分的にダメなのだ。
クリエイティブなバンドでのクリエイティブなステージは自分自身の趣味的部分でも満足できるが、BGM的なのを求められ卒なく演奏してくパターンはよもすると苦痛となる。
「やめたい、、、止めたい、、、辞めたい」と。
ダブルワーカーなのだ。
断ることも出来るが、それでよいのだろうかという断れない性格的な部分と、昼のビジネスマン的な大人の付き合いのようなもので、自分がやりたくない場合があるから、という理由でポンポン断ってよいのか、という考えも頭をよぎる。
どうしたもんかなぁ、と思っているとひょんなことで来店された外人ミュージシャンがバンドに飛び入りして急遽盛り上がったり、お客さんから今の演奏よかったと言われたりと予想外イベントが発生し、まあ中途半端に続けることになるのです。
アーティスト失格です。
ダブルワーカーなのです。
サラリーマン兼業ミュージシャンの集客のややこしさ
どこで演奏しているのか案内してくださいよ。
昼の仕事関係で取引先の方によく聞かれるが、またご連絡しますよ、と言ったきり案内はしない。
取引先というのは2種類あって、こちらが金もらう方か払う方だ。
気をつけないといけないのは払う方、つまり先方からしてこちらが客となるケース。
取引先の担当なり決裁者が昼の仕事と関係ない音楽活動と言えど、営業仕掛け先になるので彼らは接待交際費で処理するかもしれない。
すると、完全プライベートの関係ではなくなるわけで、あまりよろしくない。昼の仕事に少なからず影響を与えてしまうことになる。
案内しなくても見つけて来られる場合もある。これは仕方ない。
「ちょっと弊社の役員連れてきましたので紹介させてください」
「わざわざありがとうございます。すいません。。。」
ジャズクラブの席に座りながら私は聞く。
「御社は今調子はどんな感じですか? どの分野が上り調子ですか?」
昼の仕事の来客会議室と何ら変わらない。
ジャズクラブの店側からすると金払いのいい客が来ることになるので、こういう案内はした方がよいのだろうが、サラリーマン兼業ミュージシャンからすると、そうもいかない事情があるわけです。
クリエイターは外的要因では豊かにならない
先日ジャズクラブでのライブに昼の仕事の仲間がドヤドヤとやってきた。
そういう店でしかも生ジャズは初めてという管理職も若手のスポンサー(飲み代出す係)としてやってきた。
彼は3桁万円の腕時計をしているのを知っていたので、1セット聴いてくれた後に「あ、これはまた素晴らしい時計だこと」と例によって茶化した。
すると「こういうのにまったく興味ないでしょ」と言ってきた。
「図星、そうだね」
さすが散々人を観察してきたベテラン営業職。
音楽などクリエイティブ系の活動をしていると、何かを生み出すことには血湧き肉躍るというか、知的興奮もあって没頭できるのだが、高級腕時計や高級スポーツカーみたいな自分の外的要因からは何も満たされないことに気づく。
楽器はいいものを触るとクリエイティブの原動力となるので、道具として欲しいものはあるが。
生み出すところは興奮するが、生み出した瞬間それは過去のものとなり、そこに対する興味は一瞬にして低下するのも面白いところだ。
こういう感覚の人はたくさんいるでしょうね。
イノベーターとフォロワー
音楽をやっているとごく限られたイノベーターが新機軸を出し、こぞってフォロワーがそれを真似ていくという歴史を深く考えることになる。
ジャズの場合、何といってもチャーリー・パーカーだろう。これほど多くの人に影響を与えた人もいないだろう。未だに魅了されたミュージシャンが追っかけている。
ビジネスもベンチャーでも大手でも新しい商品やサービスを立ち上げウケると(儲かることがわかると)、類似品がわーっと出てビジネスモデルがシンプルだと会社も多く立ち上がるのはイノベーターとフォロワーの関係とまったく同じだ。
ビジネスの場合、とくに商品では知的財産、つまり特許である程度真似を防止できる。ただ、ビジネスモデルの場合は日本の場合認められず、真似された企業は腹が立つも先行したことを如何に有利にしていくかを努力するしかない。
これが音楽となると、最初のイノベーターがそのスタイルを確立したとしてもフォロワーが商売にして聴衆も喜ぶと悩みは相当深いようだ。リー・コニッツのインタビュー本でチャーリー・パーカーはあれだけ真似されてしまい、彼がギャングだったら何百人と銃殺してるぐらい腹立たしく、だから34歳で死んでしまった、というくだりがあった。
知的財産とかで確立した演奏スタイルが守られるわけでもなく、と。
なるほど、そこまで深く考えてみたことはなかったが、演奏スタイルを影響受けたというより真似た人が音楽ビジネスをやっているという見方が提示されていた。
企業のビジネスも音楽も似たような構図で進むことに気付く。
1%のイノベーターと99%のフォロワー。1%に入る努力は考え続けたいと思います。
トラの連絡ミスがアンジャッシュ的なやりとりに
ベーシスト横山裕氏は素晴らしい音色を出すので、あちこちで引っ張りだこだ。
気さくな方で、病院先生Dr.Kのピアニストバンドにも参加していただいている。引っ張りだこゆえに、ライブを欠席せざるを得ないときも多く、トラを頼むケースがちょこちょこある。
バンマスがトラ手配するのが一般的でもあるが、人がいいので横山さん自身が探すこともよくあった。トラというのは代理ミュージシャン、助っ人の業界用語。
あるとき、横山さんが自分でトラ連絡するから知り合いベーシストの電話番号とメアドを教えてください、とDr.Kに頼んだ。Dr.Kは当時ガラケーの連絡帳で段を間違えて、つまり違った人の連絡先を横山さんに教えてしまった。
この間違え先が草野さんというアマチュアトランペッターだった。ちょうどその頃、草野さんは少し歯を悪くして、トランペットが吹きにくいのでウッドベースを練習し出した時期だった。私もどこからかその噂を耳にしていた。草野さんは横山さんのことは知っているが、直接の面識はない状態。
後日、横山さんが誤った連絡先の草野さんに「はじめまして、ベースの横山といいます。来月のジャズバードでトラをお願いできないでしょうか」とメールした。
返信は「申し訳ないけど、私の技量はそこまで達してなく、たいへんありがたいお話だけどもそれなりにジャズを聴く人が集うジャズライブハウスのステージにて演奏するのは時期尚早であり、たいへん光栄なお誘いではあるが演奏はお受けできない」と。
丁寧に電話でも説明があったらしい。
「いやいやそんな難しい譜面を演奏するバンドではありませんよ」
「スケジュールが詰まってるわけではないが、申し訳ない、引き受けれない」
「スタンダート中心ですが」
「スタンダードは多々よく知っているが今回の演奏は出来ない」
他のブッキングがありとかならわかるが、どういうこっちゃと横山さんは「?」マーク。
しかもフロントはサラリーマンミュージシャンのDr.Kだし。。。
それで教えた先の間違いが発覚したのだが、まあ大爆笑の偶然だった。
草野さんはベースを練習し出した瞬間、皆が知ってるプロベーシストからいきなりベースでのトラ依頼が来たわけなので、混乱したでしょうね。この事実を草野さんに伝えるべきか否かをバンマスはかなり悩んでいたが、彼は未だに知らないかも。。。
世の中は副業禁止から副業推奨へ?
働き改革とか毎日新聞やビジネス誌で目にしない日はない。
副業を推奨するような企業もちょろちょろ出て来た。副業すると交流も広がるし考え方の視野も広がり本業に役立つからと。ついこないだまで副業したら職務規定違反で懲戒処分が常識のような感じだったのに、なんだろうね。
副業ってのも微妙で、昔から兼業農家でサラリーマンなんかたくさんいるし、実家が土地持ちで不動産管理しながらサラリーマンなんて人も実は多々いる。
サラリーマンで夜な夜なミュージシャンやりギャラもらうと、これもまた副業だ。そういう生活してることを昼の仕事の人に言うと「副業ではないですか?」とよく聞かれるが、その度に実家の不動産管理やっている人たちの話とかをすることになる。
ミュージシャンも演奏活動の他、音楽を学校で教えたり個人レッスンしたり教室もったりしている人はすごく多い。音楽演奏活動を本業とすると、これは副業?
レッスンプロという名前もあるので、音楽教えるのをほとんどやっている人もミュージシャン?
ほとんどは音楽教室の先生だが、たまにライブ活動している人はミュージシャン?
昼の仕事やりながら、しょっちゅライブブッキングで演奏している人はミュージシャン?
いや、サラリーマンと呼ばれるだろうね。
まあ、このように境目はあるようでないのです。
副業推奨の世になってきたので、大手を振って昼の仕事で夜のミュージシャン仕事を宣伝できるかと言えばそういうわけにはいかない。業績悪いのに何をやってるのだ、と言われるとぐうの音も出ないからね。。。昼の仕事の組織が絶好調のときだけミュージシャン仕事入れるってわかにもいきませんからw