リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

表層的演奏をするとめちゃめちゃ怒られる店

私はYMO→JAPAN→カシオペア→ウェザーリポート→ジャズと変遷をたどってきた。

ジャズはサラリーマンになった1年目の夏のとある夜に大阪西天満にある「いんたーぷれい8」に行き、すいません私ジャズドラムやりたいんですけど、とこの世界に飛び込んだ。

なぜこの店に行ったかと言うと、ジャズをやるためにはジャズの本を読んで勉強しなければならないとわからないままとったの本が山下洋輔氏の「ピアニストを笑え」が元だ。真面目な本だと思って買ったら抱腹絶倒の不真面目本で電車で読んでて吹き出したのは後にも先にもこの本だけというぐらい、私にとっては面白かった。

その山下洋輔さんが小さなジャズの店で定期的にライブをするのが唯一この店で、このいんたーぷれい8にそのライブを観に行ったのがきっかけだった。

 

この店が曲者で入り浸ることになるのだが、簡単に言うとその人間自身が内から出す音楽とは何かを強烈に問われる場であり、表層の音楽技術的上手さは関係ない世界だったのだ。テクニック的に上手い人間がセッションに来ても見透かされ、「なんやそのプレイは」と散々文句言われるので、変に敷居が高いとも言われていた。

 

いんたーぷれい8のママである通称ハチママが自分の感性と鋭い感覚でミュージシャンと対峙する。芯が完璧に通っているので、その対峙にはプロもアマもないのだ。つまらない演奏をすると「もうええ、帰れ」と容赦ない。

渡辺香津美氏がたまたまセッションで来店し演奏された際に「あんたのプレイはなんとつまらん、帰りなさい」と言ったのには驚いたが、真剣に燃えるものが出なければ認めてくれない状態は、まったくもって有名無名関係なくフェアであった。

 

そんな中、罵倒されながらも店に通ったアマチュアミュージシャンは多々おり、これは天満音楽祭というイベントで演奏したサラリーマンミュージシャンのその場限りのセッションバンドだ。私は既に大阪から東京に転居していたので、イベントにかけつけた状態。

 

 

客席最前列に映っている年配の女性がハチママであり隣のスキンヘッドの強面親父が元ボクサーの常連客。この二人が観ている状態というのは、1000人の聴衆よりも緊張して演奏することになる。

 

何せ、表層的なプレイをするとめちゃめちゃ文句言われるわけだからw

著作権はどこから著作権なんだろうか

昼の仕事をやっていると、昨今流行りのコンプライアンスは口うるさく意識して活動することになる。部下やメンバーに対して、著作権はもちろんのこと、各種法律の順守や社会規範のモラルを指摘するし指導もする。

 

さて、音楽をやっていると著作権は最も意識する法律となる。

ただし、、、ただしだ。。。

これを真剣に考えているミュージシャンが多いかと言えばたぶんみんなあまり深く考えていない。人の楽曲を演奏すると「カバー」とか言うが、ほとんどはコピーだ。

ジャズの場合、そもそもアドリブは著作物かという話やコード進行はどうなのか、といろいろ課題をかかえる。同じコード進行の曲は多々あるし、ブルースなんか基本同じだ。

アドリブも著作物であるとすると、みんながコピーするチャーリーパーカーのスケール練習は著作物のコピー?

創造は99%模倣と過去にあったものの組み合わせから生まれるとして、どこから著作物でどこから創作なのか極めて曖昧だろう。

 

ということで、ハービーハンコックの有名曲ソーサラーの最初のレコードのピアノとベースをコンピューターミュージックシーケンサーに入れてそのままコード進行だけど、あちこちのコーラスを切り刻んで演奏させたのにドラムをかぶせてみた。

 

さて、著作権的にこれはセーフなのかアウトなのか?

youtubeのAI、第三者のコンテンツ判定はまぬがれたようだ)

日本だけエンディングが異なるアナザーユー

というのを開催しようかと、数年前にとあるプロミュージシャンと盛り上がったが、フェードアウトしてしまった(あ、出てくる数字はてきとーです)。

↓↓↓

 

ジャズミュージシャンのみなさま

201○年○月○日

 

事務局:Bucci

 

There will never be another you的エンディング変更チャレンジ

 

拝啓 皆様ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 

さて、皆様においては日々ライブ、ジャムセッションおよび練習において有名スタンダード曲There will never be another you的な楽曲(以降、アナザーユー)を演奏されていることと思います。日本のウェブサイトにある演奏可能なジャズのお店700店舗(事務局調べ)および、ウェブに掲載されていない店舗合わせて1000店舗において、生演奏営業日数、アナザーユー演奏確率、演奏ミュージシャン数を計算してみると年間のべ12万という数字がアナザーユーに関わるミュージシャン数として計算されます(※)。

 

※生演奏営業1000/2、うちジャムセッション営業を1/10、ジャムにおけるアナザーユー演奏確率を80%、通常ライブでの同演奏確率を10%、平均メンバー数をカルテットとした場合、年間のアナザーユー演奏関係者数はのべ

*1×4×365=124,100  となる。

 

これらの演奏のうち9分9厘、いわゆるエンディングにおいて1フレーズ半音階上げる慣例が行われているのではないかと推測します。この有名なエンディングは演奏者側からすると半音上がる気持ちよさがあり、この曲特有のラストの特徴でもあるためバンドリーダーはほぼ迷うことなく半音上げる目くばせをして演奏を終了させているかと思います。

ただし、このエンディング方法は日本特有のものであって、海外ミュージシャンに演奏例が見当たらないことから、何割かのミュージシャンはこの慣例に対して「誰がいつから始めてこのように流行っているのか」、または「当たり前の終わり方だが、もはやクサくないのか」、「なぜアナザーユーのみがこの終わり方をするのか」等と疑問を呈するまでないとしても頭をよぎった経験があるかと思います。

 

ジャズは本来新たなチャレンジを演奏面、テクニック面、解釈面で進めていくのが音楽の本質であるものの、多くのミュージシャン、とくにアナザーユーの演奏に対しては伝統芸能的に誰かが行った終わり方の慣例をただただ繰り返しているにすぎません。我々はまずここから脱却しなければならないのではないかと考えます。

いや、まずアナザーユーのエンディングを変えることから始めなければならないとここに宣言します。

 

したがって、アナザーユーエンディング変更チャレンジを開催したいと思います。

*1:450×0.1)+(50×0.8

クリエイティブさに発奮する仕事

行政機関の3セクが発行する業界誌がある。よくある体のよい論文集みたいな冊子というか雑誌だ。

昼の仕事で、6000~10000字程度で図表を入れてシンギュラリティネタで書いてほしいとオーダーが来た。私はITはかじっているものの物書きではないし、他の部署の人の方が明らかに適切ではあったが断ったらしく、断らない私(正確に言うと断れない性格)に回ってきた。

 

そんなわけでWindowsのメモ帳で構成をメモし、何も見ずに引用せずに一気に3、4時間で書きあげた。

 

すぐできるやん!

 

構成を考えて全体バランス見ながらまとめていく作業は予想以上にクリエイティブでもあった。話の展開もそうだし、何を読み手み見せていき興味をもってもらうようにするか、などなど。

こういうクリエイティブ作業の知的興奮というか、面白さは演奏活動でもそうそうないかもしれない、と頭をよぎる。

 

クリエイティブ活動に身を置きたいと思うとき、自分自身が何の活動に発奮するかは実に難しい問題なのかもしれない。

個人情報保護法と演奏

改正個人情報保護法が本日施行された。

今まで大企業が対象だったが、小規模事業者でも適用される。

顔が映っているだけでも個人情報となるようになった。

 

ジャズ演奏をしていると、個々のプレイヤーが誰ひとり同じではないクセのようなものをお互いに感じる。ロックとかも個性はあるが、アドリブなどで手癖やリズムの癖がまんま出るジャズはたいへんわかりやすい。

 

例えば男性プレイヤーが気になる女性客が来店されていると、共演者はプレイのハッスル度合いからすぐにいつもと異なるものを感じる。お互い素っ裸でいるようなもんだ、とはプレイヤー同士の会話だ。

 

誰かがライブ演奏を録音してると「個人情報が」と冗談で言うのだが、なまじっかウソでもないわけだったりする。AIが発展すると、顔写真から誰かを特定するのと同じように演奏の断片から誰が演奏しているもわかるようになるのでしょうね。。。

 

個人情報ダダモレ、というか個人情報はもはやないのと同然の世の中に突入しつつあるのだと思います。

マイケルブレッカーの楽器運び

昔、斑尾ジャズフェスで外タレがたくさん来てたバブル時代、マイケルブレッカーフリークのベーシストの先輩に連れられてステップスアヘッドの全ステージを観る目的でペンションに宿泊してたときのこと。この先輩はベーシストながらもマイケルブレッカーが好きすぎて、自分のあだ名を「マイケル」として、皆に呼ばせていた。

ジャズフェス期間中はジョンスコとか普通にペンションお土産物屋を歩いていたのだが、斑尾に来るほとんどの若者はテニス目的で来ているので、単なるロン毛で前が薄毛の外人には誰も見向きしない。

 

さて、ジャズフェス初日の朝。

早く目が覚めたのでベースの「マイケル」先輩に散歩しようと声をかけたら、眠いから行ってきてくれ、ということでアルト吹きの先輩と行くことにした。

会場を下見しようということで、そこまで行った帰り、なんとマイケルブレッカーがテナーとEWIという電子楽器と大量のエフェクターをかかえて、ふうふういいながら前から歩いてきた。

私とアルト吹きの先輩は英語まったくしゃべれず、私はジャズを始める前でマイケルすら知らない状態。アルト吹きの先輩が「ああっ、マイケル!」と驚いて、まあとにかく手伝うことにした。

 

ステージは坂を下ったところの冬にスキーのレストランになる会場のテラスだった。

そこの裏の楽屋に楽器を運ぶ途中だったらしく、そこまでいっしょに荷物を運んで、大量に置いてあった貸しスキー靴に3人で笑って、まあいい想い出になった。

ベースの先輩にマイケルブレッカーの荷物を運んだと言ったら、まあ悔しがったこと。彼は英語の先生を目指しており英語は問題なかったのに、千載一遇のチャンスを逃してしまったのだ。

 

早起きは三文の徳というのはこのことですな。

IT進化とジャズ演奏

人間はコンピューターを手にして、自分の生身の能力を外部的に拡張している。

昭和のウルトラマン世代にしてみれば、腕時計で電話できるとかテレパシーで遠方にいる人と会話とかトンデモ未来の夢物語だったが、スマホとその中のSNSで実現してしまっている。

 

楽器や音楽も当然ながら進化しているわけだが、ことジャズのような世界では案外と止まってたりする。1970年初めでジャズというカテゴリーから別のカテゴリーにテクノロジーの進化を使ったものは移行していったと思う。マイルスなんかはずっと追いかけたわけだが。=だからジャズではない、って言われちゃったのだけど。

 

ヒップホップやクラブミュージックは、既にギターやキーボードというった楽器ではなく、サンプリングマシーンやDJマシンで曲を構成していき、ライブでもコンピューターのつまみを触っているという演奏スタイルになる。演奏と言えるのかどうかもわからない。組み合わせ再生とでも言うべきかもしれない。

 

ジャズシーンでのIT活用が広く進んだのはiPadによる譜面だ。分厚い譜面集を持ち歩かなくても譜面台にiPadを置いて検索してキーを変更して譜面を見る利便性はけっこう活用されている。楽器面はアコースティックが鉄則なようなところがあるので、変わらない。

 

でもジャズの考え方やジャズ独特の偶然性の合わせの面白さはアコースティックに限らないハズである。ということで、クラブとかでは一般的なミュージックシーケンサーと、まだまだ練習機材用途が多いデジタルのエレクトリックドラムで演奏してみたのがこれです。

ヒップホップやクラブミュージックの感覚や影響を受けたものをアナログのジャズ演奏に取り入れることは、若手ジャズミュージシャンで一般的になっていきつつあるが、古いジャズ演奏感覚をデジタル機材で演奏する試みはほとんど見ない。

 

まあライブでも機材持ち込むのたいへんだし、コンピューター再生の要素が入るのでライブというのは何を見せているのかよくわからない世界になると思うので場所もない。

一度トライしてみようかとは思っているのだが。。。