リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

もっと新しい発想で音楽教則動画作れるのでは?

ジャズは聴くだけよりも演奏する方が流行っているとも言える。


大スター来日のときはみな聴きに行くが、日本のミュージシャンのジャズクラブのライブは閑古鳥が鳴くようなケースが多い。60年代は若者の先端音楽だったが、まあそこからさほど音楽が変化していないので、聴衆は年配者が中心となる。団塊の世代もリタイヤしていっているので、夜に酒飲みながら好きなジャズライブを聴く人たちも少なくなった。


一方で楽器を学ぶ若手からすると、アドリブやインタープレイ、コード進行などを学ぶジャンルとしてはジャズは最適だ。とっかかりから簡単には出来ないし、学ぶことも多い。臨機応変さを身につけるためには合奏訓練も必要になる。

さて、ネット以前はレコード聴いて少ない楽譜で想像しながら学ぶしかなかったが、現代は溢れる動画がめちゃめちゃ役に立つ。


ところが、このネットの時代なのに音楽教則ビデオは相変わらずDVDで、講義と実演をそのまま動画にしている。その動画もそのままyoutubeに勝手コピーされていたりする。その動画視聴という構造はテレビ時代のまま。

コンピューターの特徴はリンクである。ネット構造のベースとなっている概念だ。フォルダとファイルはアナログ時代の机の引き出しとノートの代替えなので古い概念だ。
リンクはあらためて言うと関連あるものに即ジャンプできる機能だ。階層構造のディレクトリやフォルダ、ファイルとは違う概念。


この概念で教則動画を作ってみるというのはどうなんだろうかと思い、教則動画ではないがリンク構造を入れてみた。

 

↑これはyoutubeアノテーションを使い、ドラムフレーズを別動画にしてリンクしてみた事例。

 

アノテーションはパソコン視聴時代の機能なので、もうすぐ終了する。
スマホになると見え方が変わるので、新たにカードという機能が提供された。

 

↑それを使ってドラムフレーズの解説的動画を別でリンクしてみたのがこちら。

 

これらの機能は別動画を視聴してもらいたいためのコマーシャル的リンクとして提供されているが、関連リンクという考え方はありだと思う。
教則動画が複雑にリンク構造だけで絡み合ったものを作ってみようと思ったが、youtubeのカードは5リンクまでとなるのと、関連動画のコマーシャル的位置づけ表示なのでちょっと違うかなと思い、製作は思いとどまっている。


まあ、ぜひ誰かやってみてくださいw

ホテルラウンジのBGM仕事

月1で超高層ビルのホテルラウンジのBGM的仕事をしてる。正確に言うとしてた。

先月バンド丸ごとクビになったのだw
数年前まで日本一の高さをほこった展望台の1F上にあるそのラウンジは70Fでそれは目も眩むような絶景。ただ、ステージは当然窓に背を向けて配置されているし、窓際からお客さんが埋まるのでその絶景をマジマジと見ることはない。
ここは展望フロアと同じラウンジからすると1F下の69Fに控室が用意されている。
給湯室にテーブルを置いただけの控室で、当然内側なので外が見えるところはどこにもない。
69Fの通路の向こうには1000円払って昇る展望フロアがあり、キャーキャーと声だけは施錠された非常ドア越しに聞こえる。
最初はなんだかな~と思っていたものの、何度も行くうちに給湯室は給湯室でえらい居心地がよいと思えるようになった。給湯室にはアイスコーヒー、アイスティー、大量のレモンが用意されていて、コーヒーはしっかりした味だった。
昼の仕事を定時退社してシンバルとスネアを持って車で首都高飛ばして1時間前には入り、その給湯室でのんびりするのがなんだか妙に心地よくなりw


住めば都とはこのこと…?

ジャズ評論家が評論をやめた理由

最近少なくなったが、ジャズの店にはしかめっ面して演奏を聴く評論家のおっさんがいることがある。
私がジャズを始めてから長く通っていた大阪の老舗いんたーぷれい8にも毎週和歌山からわざわざ来るおっさんがいた。島崎さんという人だった。
「チャーリーパーカーを知っとるか?」、「あいつはいっとる、すごいぞ」と毎週言い私らの演奏をダメだダメだ話にならんと言う。
同じ時期に50歳の手習いでウッドベースを始めた上田のおとっつぁんという今は台湾系メーカーに買収された例の大手電機メーカー勤めの人で、いつから毎週店に来るようになり、私らといっしょにそれはヘタクソにベースを演奏してた。
あるとき、「俺もついこないだまであいつと同じように評論してた。何千枚もレコードもってるしそれらのレコードの演奏でもすべて細かく評論できる。こないだまで評論してた。でもベースを実際に演奏してみると全然出来ないし、君らが如何に努力していて上手いかもわかった。あのおっさんも一度楽器をやってみるがいい!」とぶちまけた。
それを聞いてから私は上田のおとっつぁんのヘタなベースと演奏するのが、大好きになった。
30年前の話です。( ^^) _旦~~

映画「セッション」にプチ絡み

へんな映画があってさぁ、それの音楽用語の翻訳頼まれちゃった。

 

いつも演奏しているヒロ川島さんがジャズバードのライブのときにそう言った。

 

翻訳者は音楽用語わからないので自分がやることになったんだけど、ドラム用語がわからなくて、ちょっと教えてと。で、ルーディメンツとかそのたぐいのドラム用語を川島さんは私に聞いてきた。
その映画がデミアン・チャゼル監督のアカデミー賞3部門をとった「セッション」だった。
封切り前なので、へんな映画とはその通りの評だったでしょう。
まさかアカデミーとかそんな展開になるとは想像だにせず…。
私は別に手伝ったわけでもないけど、どういうわけか私もGAGA本社での試写会にも呼んでいただいた。

菊地成孔さんの酷評が有名になったみたいだけど(←最近知った)、ジャズドラマーから観るとおかしいところたくさんあるよね。第一どんだけやっても血は出ない。シンバルに汗はつかない。ウッドベースは素人がやると血が出るけどw
でも、サイコホラー的なスポコンの素材としてビッグバンドを取り上げたのは面白い視点。
翻訳者の川島さんの評が実に的を得てた。

 

スポーツは根性モノが昔はあり得たけど、ここまで科学トレーニングが一般にも知れ渡るとそれをスポコンドラマにするとウソがバレバレとなる。だけど音楽ってよくわからないし、ジャズやビッグバンドは裏がわからなくてその手がありそうじゃない?

そこをうまく突いてる。

 

なるほど、確かにテレビでもスポーツ選手の科学的トレーニングは日々目にするけど、皆できっちり合わせる音楽の裏は確かに「何か恐ろしく厳しい指導が行われているのではないか」と闇を想像できるw
素材がドラマーってのもわかりやすい視点だと思う。管楽器とかだとコード(和音)への合わせが出てくるので知識がついていかない。ドラムはリズムを合わせるかどうかなので、かなり素人目にもわかりやすい。
とは言え、映画で何度も「違うっ!」ってビンタされるシーンは普通の人には違いがわからなかったみたいね。私はドラマーだから、あのシーンでドラムがわざとずらしたり甘いリズムを叩いているのがわかるけど。

でも、その業界の人が、あれは違うって言うのも度量が狭いと思われちゃうかもしれないね。
例えば工事現場の現場監督を取り上げたドラマで面白いものがあったとして、建設業界の人にあれは全然違う話にならん、とか言われても興醒めするだけだろうし、そういうもんでしょ。
私は「全然違うけどめちゃ面白いよ」って言ったり、「ジャズドラムってあんなに厳しいんですか?」と聞かれて「そうだよ、あれが普通だよ」ってブラックジョーク的に答えたりしてた。
そもそも邦題を「セッション」としちゃった時点で違和感あるわけだけどね。原題は「Whiplash」鞭打ちとかドラマーが陥るむちうち症の意味らしいけど日本語では浸透してないから無理くりだったのでしょう。
まあ、でも製作費安くしてアカデミー賞で評価されたのはよかったですよね。右から撮ったものの左からのアングルで編集したいと、反転させてるシーンもあったみたいだし。

そんなこんなで鬼教官のフレッチャー見てるとパロディ動画を無性に作りたくなり、自虐ネタをやってみたのでした。おー怖っw

ロンドンのジャムセッションはここが違った!(後編)

 

pagos-bucci.hatenablog.com

前編から)
最初に呼ばれたドラマーは常連と思われる人で、速い演奏が爆音で始まった。演奏が終了した瞬間にアンディはご機嫌MCを入れていく。とにかく流れを切らさない。
2曲演奏終わって、ドラマーが動く気配ないので「アンディ!俺叩いていいか」とMC合間を狙ってアピール。
「ステイステイ」まだ待っとけ、と。
3曲終わって、まだ動く気配ないので「アンディ!」と。もう0時ぐらい。次の日も朝8時半集合でビジネス仕事があるので、さすがに外国の知らない街に夜通しいるわけにもいかない。
とは言えロンドンまで来てここで諦めるわけにはいかないので「おーい」ってw
しつこさに気付いたのか、チェンジと。サラリーマンスーツ姿なので、こいつは演奏大丈夫かいなと思われたかもしれないね。
半ば強引にドラム椅子を取りにいき、相変わらずアンディは聴衆を惹きつけてバリバリMCをしている。曲は日本のジャムセッションでされるバップ、モダンあたりまったく一緒。
やはりジャズは世界共通。演奏したい曲もこうまで似通うかとある意味感心。

 

ところが日本のセッションとまったく異なるところがひとつ。

 

参加ミュージシャンに曲を決める権利はなく譜面台も用意されていない。日本のセッションでよくある「何の曲やりたいですか? できますか? キーは何がいいですか」なんてものはない。
バンマスのアンディがMCで場を盛り上げ、ネクスト曲をアナウンスした瞬間そのまま大声でカウント出して突入。

つまり、セッション自体がミュージシャン向けではなく、オーディエンス向けなのだ。

逆に言うと、そこに参加するミュージシャンはMCで言われた曲を譜面なしでカウント指示のみで演奏しきれなければならない。


ジャズのセッションを完全にエンターテイメントとして見せているステージなのだ。
 

客もスタンディングでわーっとそれを楽しんでいる。曲中もずっと同じノリが続くと飽きるのでアンディは上げろとか押さえろとか身振り手振りで指示してミュージシャンは指揮者を見るようにそれを横目で見ながらメリハリ付けて対応していく。

私がドラム椅子に座ったときは、アンディは何かわさわさMCでしゃべった後に「キャラバァ~ンッ!」と叫び、ウノッ、ドスッ、ウノドストゥレスッとスペイン語か何かでカウントを出した。

 

(GoProが壊れてしまい、静止画しかありませんがその時のサウンドです)

演奏中、ドラミングで面白い反応をするとアンディは「イェイイェイ!」とすごく喜んでた。終わると爆音ベーシスト(エレベ)もニコニコしてイェイっと目配せ合図をしてくれた。
これもジャズは万国共通。いいよね。
終わったらでかい怖い顔した白人のでかいおっさんドラマーが代わってと来たので、どうぞ、ってw
深夜なのでMCしているアンディに先に帰るけど楽しかったと握手してお礼を言うと「すごくドラムサウンドがきれいだった」と言ってくれた。日本のジャムセッションもいろいろ行ったけど、この客向けエンターテイメントとして見せるのは皆無。


この視点はありだよな…、と考えさせられました。
 

プロダクトアウトとマーケットインの違いでもなく、客は誰か、に行きつくような気がしますね。
日本のセッションでも聴くだけのお客さんもたまにはいるけど、ステージ内輪で「次何します~?」とかコソコソ相談していると、疎外感は否めないかもしれません。
そんなこと考えたこともなかったけど。

 

セッション一つとっても、いやいやビジネス面でも勉強になりました。

この時の出張は英国企業のエライさんなどと意見交換や議論が中心でサラリーマンとしてはかなり気を遣うパターンだったが、裏目的の「現地で演奏できるか…」の方が私にとってははるかにドキドキのチャレンジなのであった。
私が深夜そんなことをしてたことは同行メンバー数人はついぞ知らない。
帰国してしばらくしてから、実はあの後ね、って言ったら全員びっくらこいでたw

 

誰かこのスタイルのセッション開催しませんかね。。。

ロンドンのジャムセッションはここが違った!(前編)

ビジネスでロンドンへ3泊5日の弾丸ツアー(出張とはそんなもの)出張に行ったときのこと。
毎晩会食が入ってしまっていたものの、現地で演奏してやろうと意気込みスティックとブラシを忍ばせていた。事前にググるもジャズのセッションは、片手で数えるぐらいしかわからない。日本ほどあちこちで開催している都市は皆無でしょう。

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有名なRonnie Scott's Jazz Clubの上にRonnie's Barというバーがあり、ここで毎週水曜日にセッションしているというので、夜9時に会食から解放されてホテルに帰ってからすぐキャブで向かってみた。
1Fのクラブではチックコリアが数日間やっており、SoldOutの看板を横目に2Fのバーに繋がる階段の下でチャージを払った。これが安い。昼飯2000円ぐらいが普通なのにミュージックチャージは1000円ぐらい。


そして2Fに上がると驚きの光景が。

 

熱気むんむん20代30代がほとんどで席はすべて埋まりスタンディング客もぎゅうぎゅうなのだ。カウンターでドリンクをオーダーするのだが、そこに30人ぐらい固まらずにわーっといる。ドリンクは諦める。ホストバンドが大音量でバップからモダンらへんを高速で演奏していた。

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ナイトインチュニジアボリビアとか、いけいけノリの曲が立て続けに演奏されていく。。
100人ぐらいオーディエンスがいるだろうか。

 

ここにセッションで入るのはかなり勇気がいるな…

 

怯むとはこのことで、せっかくイギリスまで来てセッション会場も見つけて実際に入ったが、どうしよう…、と。英語もろくすっぽしゃべれないしシステムもわからない。

アンディデイビスというトランペッターがご機嫌MCやりながらブリブリ吹いてた。彼がバンマスだ。

ホストバンド演奏が終わり、サックスやギター担いだ奴らがステージの方に数人寄っていったので、今からセッションかということがわかった。場違いなサラリーマンスーツの私もその一人を捕まえて「どうやったら演奏できるのか?」と聞いた。
アンディに言えというので、アンディに日本から来た、ジャズドラマーだ、いつもはビジネスマンだけど、とまあ伝えたわけです。
OK、声かけるよ、みたいなことを言われ、他の楽器もった人たちがステージの後ろ側に移動したので私もそこに行った。アルトの兄ちゃんに「日本から来た。ここは初めてだ。明日帰国する。あんたどこから?」と聞くとイタリアで自分も初めて来たって。

 

さて、小休憩を挟んだ後、アンディのご機嫌のMCが始まりセッション開始。
開始直前に音とGoPro(動画撮影機材)撮影していいかと聞いてセット。日本人と思われただろうなぁw

 

ここから、日本とまったく違うセッションスタイルを目の当たりにすることになるのだった。
(後編へつづく)

グレンミラーオーケストラのボーカリストとひょんな共演

ジャズをやっていると予想外な日に予想外な方とセッションすることがある。


私はビッグバンドはほとんどやってきていないし、あまり聴いてきてもいない。
表参道のジャズバードでいつものギターピアノカルテットの演奏をしていると、たまに店に出演しているボーカル陣数人が興奮してイケメン外人を連れて来た。さっき公演を終えたばかりのザ・グレン・ミラーオーケストラのボーカル兼ミュージックディレクターのニックヒルシャーさんだった。
ボーカル陣からするとアイドルだけど、私はノーマークのミュージシャン。
ライブの3セット目だったか、ボーカル陣はヒルシャーさんに歌わせたくて、うまくステージに誘い出すことに成功。そこからバラードを歌いたいと言い、昔の曲が得意なジャズバードオーナー兼ピアニストのミヨママがピアノを弾くことに。

 

 

甘い歌声なのに声量が半端ない!
うむむ、さすがに世界トップはすごいですね。
しかもコンサートでたっぷり2時間歌った後というのに。。。マイクいらんやん、と。
こういう方に遭遇すると、アスリートに対峙したような感覚になる。なんというか根本の身体の鍛え方が別の種類の人間みたいに思えて確かにオーラというものを感じるのです。
いやいや貴重な体験をさせていただきました。感謝感謝。