イントラパーソナル・ダイバーシティ
とあるWがつく大学のビジネススクールの先生の話を聞く機会があった。
企業は前からイノベーションイノベーションと、いかにイノベーションをやるかが経営から声高に発せられるが、日本企業の多くは新しいものが出ない輪廻に入っているのはご存知のとおり。
イノベーションを起こす仕組みがないから。
イノベーションは失敗が数多く生まれるので、組織はこれを許容しないといけない。
が、日本企業は人事制度が失敗したらダメって評価する仕組みなので、出世したい輩は失敗しないように、つまり新しいことはしない。
これも広く知られている事実だ。
イノベーションを起こそうと人材を組み合わせるためにはいろんな人を混ぜることが必要だ。
ダイバーシティ、このワードももはやバズワードであり、枯れつつある言葉だ。
でも、黒い背広にネクタイのおっさん集団で構成されて、金髪にでもしようものならオミットされるのが東証一部上場企業群だ。
ここも変われないのが日本大手企業。
このダイバーシティを一人ひとりというのではなく、個人の中にマルチキャリアをもつ概念で「イントラパーソナル・ダイバーシティ」という言葉があるらしい。今日、これを知った。
こういう人がイノベーション起こしやすいとのこと。
まあ、そうだろうなぁ。見ててわかる。
そういう意味では昼の仕事をやりながら夜な夜なジャズミュージシャンやるのは全然OKな世界ですな。マルチキャリアそのものだから。
寝不足になるので、頭が回らないことは多々あるが、イノベーション的発想はたくさん出る(笑)。
そんなことを考えながら、本日のライブは演奏→お客様と月食観察→演奏→お客様と月食観察→演奏という、なんかホームパーティみたいな感じになったのでした。
ちなみにイノベーションってのは既知と既知を組み合わせて新しいものを作ること。
0から生み出されるものはない。掛け算であり、0は掛けるも何も0であると。
岡本太郎が「今あるものは絶対過去にある」と言ったのはこのこと。
新しい組み合わせが人々に受け入れられるかどうかは別の話。
芸術だと新しい価値として評価された/されないの世界だし、企業だと商品やサービスが売れた/売れないの世界だ。
実は組み合わせは簡単に出来る。やってみる行動が大切なのだけども。
本格ジャズと初音ミクの組み合わせ
↓
デスメタルと4ビートジャズの組み合わせ
↓
能謡と4ビートジャズの組み合わせ
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既存の有名盤のアドリブを切り刻んで再構成した組み合わせ
↓
考えて創ってみるのは面白いねぇ。。。
これがイノベーションなのかはクソクラエだがw
YouTubeにおける著作権利者発見AIの進化
YouTubeは怒涛の勢いで各種音楽がこの瞬間も大量にアップされている。
著作権の権利者をどう守るかという課題はニコ動のように二次創作を認める仕組みを作り、会員に説明するようなものもがるが、YouTubeは世界各国でどこの国のどの曲をどういうかっこうでアップロードされるかわからないのでアップロードした動画のサウンドからAIが権利物と自動チェックしている。
ジャズはアドリブが多いので、元の楽曲との突き合わせはメロディ部分を判断しないといけないので、かなり難易度が高いハズだ。ただし、メロディが明確なものは検知できるケースはAI進化により高まるだろう。
たいていのジャズスタンダードの演奏はパブリックドメイン(古典すぎて著作権切れているもの)を除いても権利を主張されるケースはほぼないが、昨年ドルフィンダンスのライブ演奏をドラム解説動画としてアップすると、1日か2日経過してから権利主張された。
これ↓
権利がこちらにないものを使っていると判断された場合、動画に広告が表示される。
YouTubeの広告表示は2パターンあり、動画アップしているチャンネル開設者が自己の収益化のためにYouTubeに登録するケースが一つ。
ユーチューバーはこれ。私はアップ動画を収益化したい意向はないのでこの登録はしていないし、するつもりもない。
もう一つが著作権権利者に収益を回すために表示されるケース。
つまり、使ってもいいけど広告表示は消せずに、その広告収益はチャンネル開設者側ではなく、権利者側に渡しますよという仕組み。
これはリーズナブルであって、理にかなっている。
ただし、楽曲が誰の権利を使っているかをアップしたときにAIエンジンにより膨大な楽曲データと突き合わせるアルゴリズムが必要だ。
私は昼の仕事でIT関連に深く関わっているので、これのたいへんさは感覚でわかるが、膨大な投資と加えてマッチングさせるデータのパターンが必要になる。投資できたとしても、権利物と合致するか否かの判断はそのソースが大量に供給されないとAIの進化はできない。
それを考えると、YouTubeのこの進化には他の動画サイトはついていけずに寡占化するだろう。というか、もうそうなっている。
少し前までは、権利がどちらにあるのかアップロード者に判断させることもあったが、昨夜アップロードした動画はアップロードした瞬間に権利者向けの広告が表示される判定をされた。
これ↓
マイルスのアルバム、ウエインショーターのネフェルテティというメロディ主体の曲だが、この動画を作るにあたってシーケンサーに打ち込んだメロディのキーとテンポは同じ。バッキングとドラムはもちろん異なる。
アップロードする際に、権利者主張が出るのはないかとある程度予測しており、あえて楽曲名を英語でも日本語でもちゃんと書かず、タグも付けずにはぐらかせてみたが、アップした瞬間「第三者コンテンツ利用判定」が出たことでAIの進化を思った次第。
すごいなぁ、と思うとそこで思考は終わるが、これが進化してみることを考えてみると興味深い。
メロディを検知できるということは、例えばチャーリーパーカーのリック(ソロの一部のフレーズ)が検知できるようになるということだ。
この演奏のこの部分は過去の誰の演奏が創始者であって、それのコピーである、と判定されることもあながちおかしい世界でもなくなる。
メロディも部分を短縮していくと、どこまでが権利であるのかの基準はない。
1コーラス全体なのか、サビ部分だけでも権利なのか、2小節でも強烈な特徴があるのは権利に値するのか。。。
どんどん縮めると「ド」だけのように1音になるわけだから。
そのうち、誰のどのようなプレイに触発されて、もしくはフレーズをコピーして楽器のソロをプレイしたかがAIにより明らかになるかもしれない。
「この動画の2:01から2:05のアルトのソロフレーズはチャーリーパーカーの1959年アルバム○○の3曲目の2コーラス目のサビ前と同一」
ってタグ解説が自動で付与される。。。
だとすると真に新しい価値を出すプレイヤーはごく少数のミュージシャンのみとなるだろう。
見える化が進むと、そういうところも明らかになってしまうかもしれない。
結局人間はアーティスト誰でも過去の自分が吸収したものから何らかの触発を受けて音を出すので、それは脳内での過去のもののリミックスでもあって、そのリミックスが新しく聴こえると新しい価値を創造したことになり、組み合わせの妙を探す活動なのかもしれない。
コンテキスト上、これが新しいと評価されると新しいということになるが、その「新しい」とサウンドから感じる人間の感覚的な気持ちよさは必ずしも一致しない。
双方必要なものを生み出すことを考えすぎると、どこかに媚びて、真に自身の中からの創作活動ではないところに向かうかもしれない。
いやいや、なかなか興味深い世の中の進化になってきましたぞ。。。
ネフェルティティ
ジャズの名曲、ネフェルティティ。
超有名曲だが、ジャズライブで演奏したこともないし、しているのを聴いたこともない。
メロディしかない実験作品のような曲だからだ。
また、メロディしかない曲にトニーウィリアムスが付けるドラムがクリエイティブなので、これを超えるようなアイデアと過激さも混じる柔らかさは誰もなしえない。
ゆえに演奏されないわけだ。
演奏したとしても、たぶん終わり方も困難を極めるだろう。
ドラムにとっては興味深い曲であり、メロディと空間がアイデアを出させるような感じになっている。
問題はその空間を使うセンスなのだ。
まあ、四の五の言わずに演ってみることにした。
シーケンサーにメロディとめちゃくちゃピアノを入れて、練習スタジオに行ってそれを聴きながら合わせてみた。
結局、フリージャズになってしまうのだった。。。
安物買いの銭失い
エフェクトシンバルを買った。
正月セールで中古品しかも安価だったので、遊んでみようと。。。
試してみた。
味がなかった…
まあ店で試奏した際にどこ叩いてもほとんど変わらぬサウンドにわかっていたことではあったが。
とりあえずエフェクトハイハットとエフェクトクラッシュにライドは通常のライドの下にクラッシュを重ねてエフェクト状態にして演奏してみた。
カシャカシャ鳴って表現の幅がないので結構苦しんだが、何せ初めて叩くエフェクトシンバルなので新鮮ではある。
しかし飽きるな…
一度ぐらいライブで使ってみて生演奏の感覚も試してみよう。
しかしバラードとかはキツいような気がする。
売りに行こうかと頭をよぎる。。。
安物買いの銭失いとはこのことでR
ネット時代前後における楽器演奏技量習得の圧倒的変化
最近の音楽や新しいの見つけるの、どうしてる?
「YouTube!」
学生に聞くとこの答えが返ってくる。
そのうちネットフリックスやアマゾンミュージックのレコメンドも増えてくるだろう。
ジャズ親父、アマチュアジャズ親父ミュージシャンに聞くと…
「ディスクユニオン!」
と思いきや、これがYouTubeなのだ。
CD蒐集家はアマゾンのレコメンドという人もいるが、多くはYouTube。
正確に言うとYouTubeのレコメンドとそこから派生する自身の検索になる。
どういうことかと言うと、YouTubeのレコメンドで関連ミュージシャンを観ていくうちに気になった共演ミュージシャンを検索し、それを観ていくという方法だ。
昔はディスクユニオンでCD買って、気に入ったらそこの共演ミュージシャンのアルバムをまた探すという繰り返し。
でもこのパターンはハズレをよく引いた。
人類の共有物となりつつあるネットの世界での動画や音楽、音源。
演奏動画はミュージシャンにとってはすごく参考になる。
ドラムやってると、ある程度上手くなるまでは手順がさっぱりわからないフェーズがある。
右から叩くのか、どこで2つ打ちを入れているのか。。。
ネット以前、CD以前はドラム教則本にある各種手順の譜面を見ながら、レコードの回転を遅くしたものを何度も聴いて採譜し、手順を想像して実践してみる、ということをやるしかなかった。
そのうちビデオが出て一部のコンサート映像が少し見れるようになるも、でもライブ映像で知りたいオカズ部分のときにドラマーを映す確率は低いので、なかなか想像の域を出ないのは変わらなかった。
今は、「叩いてみた」という動画をアマチュアもアップするので、参考材料は山ほどある。
ミュージシャンを観察するにあたり、低年齢でめちゃめちゃ上手い人は山ほどいるので、上達までの時間はかなり短縮されているように思う。
基本の教則本の譜面とレコードしかない時代と、動画で手順解説が山ほどある時代では、「あ、そういうことか」と一つ一つ把握するまでの時間は圧倒的に異なるだろう。採譜したり想像して実践して四苦八苦している時間は不要になってるわけだ。
面白いことに、もう一つ傾向があると考えている。
上達の速いミュージシャンで上手い人たちに、ほぼミストーンがないのだ。
かなり完璧に楽器をコントロール出来ているし、していく。
ジャズの場合、ミュージシャンが自身が出来ないようなフレーズを演奏中にやりたくなり、過去にやったことないので出来るかどうかわからないものを出す場合、ミスにつながることは多い。ミストーンだ。
でも、そこを演奏しようとする流れにミスっているものは「やりたいことはわかる!」とグッとくるのも不思議で面白いところだ。
これを上達の速いミュージシャンで上手い人たちに感じたことはないような気がする。
ミスするときというのはたいがい、少なくとも何か新しいことをやろうとしているわけだから。('マイルス・デイヴィス・リーダー' P72)
まさかラジオで取り上げられるとは…
昨年、インディーズでCDを作った。
ひょんなことから20年ぶりに再開した大阪時代遊んでいたピアニストがもってたラジオコーナーで取り上げてくれた。
こんな機会が生まれるとは思わなかったが、面白いものです。
ということで、エアチェック(←死語)というかネット視聴をキャプチャーするかっこうで録音。
そのピアニストが学生のとき、私は社会人でジャズ始めたばかりだったが、変なオリジナル曲を演奏していた。
しょっちゅう夜中にジャズ談義をした仲でもあるので、彼はこのCDの意図も一発で理解してくれた。
そのことはラジオ放送聴けばわかり、20年会ってなくとも、お互い理解している不思議な感覚を覚えた。
「超問題作!」
こう言ってくれたことが一番嬉しく、まさに狙いでもあったわけだ。
ただ単に面白い奇抜な作りを試したわけではなく、ジャズのアドリブとは何か、などを問うものであっていろいろ考えさせられる内容だと解説してくれた。
とにかくありがたい出来ごとでした。
何の資格ももってないのですが
昼の仕事では、日々中途社員の採用面接も実施している。
IT関連でもあるので、応募者の履歴書には華やかな資格経歴が多く載る。
・応用情報技術者
・ネットワークスペシャリスト
・情報セキュリティマネジメント
・オラクルマスター
・システム監査
などなど。
私は受験したことすらない…。
「出世できないぞ…、」
「資格は勉強したことの証だ…、」
「申込すらしていないってどういうこと?」
若いときは散々言われてきたし、まあその通りだと思う。
同僚に、「お前、基本の資格すらもっていないのはヤバいぞ…」と言われたのは1度や2度どころではない。
ところが、である。
私は転職をしてしまったが、最初に勤めていた大手技術関連大企業で事業部長クラスまでかなり出世した奴を見ると、バブル時代にバンドやっていた2つ下の後輩2人。
時はバブル時代。一人は入社式に何を間違えたのかロンドンブーツを履いてきた奴であり、もう一人はヘビメタボーカルとギターをやって会社のイベントライブで暴れてた奴だ。
それなりのポジションになると、真面目一辺倒ではない根底での性根の強さみたいなものが問われる。
少々のことに動じないのが必要な要件になるのだ。
優秀なプレイングの若手が主任や係長になるのは資格が役立つ。
課長はまったく別の要素が必要になるため、出来る係長は課長にはなれない。
企業としては課長ポジションを試してみる配置はするが、ダメだったらそこ止まりだ。
部長はそもそも社内や社外の人的交流の厚みが必要になる。
社内人脈は学校みたいなノリで人脈増やせるが、社外はそうはいかない。
その人に魅力がないとダメであり、その魅力は何らかのアクティブな社外活動によって培われていくしかない。
「会社潰れたらどうしよう」、なんて思う奴が上位にはアサインされるわけがないのが組織論なのである。
ジャズをやっていると、やたらと人脈が出来る。
セッションに行けば仲間は増えるし、プロもセミプロもアマチュアもお客さんも人の繋がりができていく。
これはすごく大きいことで、しかも共演すると性格含めていろいろ把握できてしまうので、何かあったときにお互い助け合いが出来るような感覚になる。
企業のみで活動していたら、金の切れ目以外にも立場の切れ目が縁の切れ目ということは当たり前だ。
例えば講演会なども多い業界で目立つ人でも、実際はその会社の冠を背負ってやっているので、会社代わったとか役職定年で違う会社に移籍した途端、前と同じような振る舞いは誰も相手にしなくなるケースは多々見て来た。
冷たいとかいう話ではなく、組織の役割として活動しているので、そこから外れると意味ないのは考えればわかることだ。
これを勘違いする人間も多い。
ミュージシャンはアマチュアでも単体固有のミュージシャンだ。
固定バンドを組むジャンルではないジャズの場合はとくに個人が基本だ。
活動は個人なので、組織の役割ではない。組織のポジションとして活動するわけではない。
つまり人脈はずっと活きるわけだ。
ジャズの一つの特徴と思うのだが、ジャズ好きなお客さんはこだわりがある教養の持ち主も多いので、積極的に関わっていくとそこそこ輪は広がる。私は昼の仕事ではギャーギャーしゃべらざるを得ないこともあるので、ジャズの現場ではどちらかと言うとけっこうおとなしくひっそりしている。
でもお客さんから声がかかると、それなりにしゃべるので、しゃべると濃いなぁと思われているかもしれない。
お客さんはいろんな業界の人もいるので、観察して会話していると不思議と知見も溜まる。
企業では出世するためにせっせと異業種交流会に出かける人も多いが、ジャズクラブでライブをやっていると常に異業種交流会に参加しているように思えるのも事実だ。
お客さんの中には長年の衆議院秘書で仲良くなった方もいる。
議員会館に気軽に入れるし、永田町の中の人としての見え方もダイレクトに知ることもできる。
昼の仕事には一切利用しないけど(笑)。
またジャズはその場での臨機応変の対応力やアイデア力、仕切り力、予定調和力、よい意味での裏切り力が求められる。
昼の仕事、企業活動では日々様々な答えのない問題解決をしているようなものだ。
ジャズを演奏する上での頭のトレーニングが活きているのではないかと考えることも多い。
まあ、そんなこんなで若い時はまったく関係ないと思っていた昼の仕事とジャズミュージシャン仕事も、なんとなく関連して実は相互にかなり影響を与えているように確信していくのが面白いとこですね。
最初の話に戻すと、資格坊主でも昼の仕事で渡り歩ける方法はあるかも…、と言っておきましょう、若い企業人のみなさま!