ジャズの理論
「森山威男スイングの革新」、立ち読みするも半分読んだところで、やはり買うことにした。
めちゃめちゃ面白かった!
この初代山下洋輔トリオはリアルタイムで聴いた世代ではないのだが、学生時代にCDで聴いたりはした。
何より、ジャズを初めて足を踏み入れた大阪の店が、森山さんが置いていったドラムがあり、無名だった山下洋輔トリオをマンスリーで東京から呼び寄せていた曰くつきの老舗だったのだ。ジャズ演奏をやりたくて踏み入れたのだが、フリージャズ演奏もしょっちゅうああでもないこうでもないと教えてもらいながら演奏した。
店のマスターはピアニストでその系列のフリーについていろいろ教えてもらい、散々いっしょに演奏した。私の基礎は全てそこにある。
そのフリージャズはジャズ理論というか、やり方、心地よさの出し方(オーディエンスからすると聴こえ方)が各人理解し、言葉にはしにくいものではあったが、この本とDVDは1970年代に欧州で席巻したこのフリージャズトリオのドラムの演奏方法からトリオでの合わせ方もよどみなく森山さんが解説している。
私が解釈していたジャズドラムの気持ちよさは、まんまその通りであり、フリーの合わせについては想像以上に細かく決めていたのか…、というのが感想であり、すごく面白かった。
フリージャズに限らず、ジャズ演奏するミュージシャンはみなこの本を読みDVDを観るとよいと思う。
なぜ売れたか、偶然と必然と戦略もすごく明快に解説してある。
確かに今となって振り返ると…、なんだろうけど、当時トリオが勢い含めてそこに至って売れた背景もすごくよくわかる。
ジャズの心地よさみたいなものは、先日youtubeでめちゃめちゃピアノを自分で弾いて合わせたものに解説つけたのを作ったのだが、これと基本同じことを森山さんDVDでも言ってるのだと思った。
それにしても1970年代の山下洋輔トリオの欧州でのライブ演奏は壮絶なものがある。
この曲の題名こそ、私が大阪で足を踏み入れた店の名前だ。
かっこいいし憧れるが、若さ、テク、エネルギー、どれをとっても現代これについていけるミュージシャンはいないだろうなぁ。
無名だったこのトリオがフェスで演奏した実況録音がこれで、無名だが1時間スタンディングオベーション続いたという伝説。
もちろん時代背景もあるので、当時聴衆がびっくり仰天したこういう演奏も今はみな乗り越えていっている。
芸術はその時代新しい表現を乗り越えていくと消化され、当時受け入れられないようなものも過去の伝統となり、当時尖っていたものも暖かく思えてしまう。
今年のハチ↓(未だ活躍する森山さんが置いていったドラム)