リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

CDというパッケージ

夏前にひょんなことからCDを作って、まあ名刺代わりに配っている。

ちゃんと売ろうとして、最初はきちんと販売していたのだが、グダグダになってしまったのだ。

 

大きな原因の一つは横流し品が早々に出てしまったこと。

しょっちゅう出演している某ジャズの店にCD販売分として少しまとめた枚数を預けていたのだが、ママが勝手に知り合いミュージシャン複数人に「ブッチー、こんなの作ったのよ、聴いてみて」と渡してしまっていたのだ(笑)。

 

私は社会人ミュージシャン(昼の仕事しながら夜ジャズクラブでギャラもらって演奏しているミュージシャン)には知り合い全員に押し売りしてやろうと思ってたら、軒並み「聴いたよ、面白いことやるねぇ、すごいパワーだよね」と。

 

「ええ? 誰からCD借りたんですか?」

 

「ママにもらったよ」

 

おっと…。

 

まあ、そんな感じで最初のきちっと販売する目論見は崩れてしまったのだ。そうするとマズいのがちゃんと販売してしまった人に対するアンフェア性なのだ。

 

「オレはちゃんと買ったけど」

 

そう言ってきた人もいたが、、、

 

かと言って返金するのもおかしいし、1000円なので返金を求めてくるものでもない。

そう、実に中途半端な状態になってしまったのだ。

 

というグダグダなんだけど、こうなったら興味持つ人には差し上げる作戦で行くしかない、とすっきりしない判断。

 

今月、知り合いのプロミュージシャン2人から手売りのCDを買った。2000円だ。だいたい相場はそのぐらいだ。

ラジオで流れることもあったりするらしいが、ジャンルもジャンルだし、まあ売れることはないだろう。みなさん、かなり在庫の山に苦労するらしい。

音が溢れているこの時代今さらCDを買う人も少ないし、作るのも簡単だから大量にインディーズも製作されていくからねぇ。

一方でネットでは多くの無料動画が視聴されていくわけだし。

 

人の耳に触れさすのは圧倒的にネットが有利だ。

youtubeなどがAIにより、関連作品はレコメンドしてくれるので、似たような趣向の人の目に留まる可能性は高い。

CDの場合は物理媒体なので、その人に届けるのは至難の技であり、極めて非効率なのだ。

 

Jポップなんかは以下の流れだ。

 

(1)アマチュアがライブ

 ↓

(2)ライブ行った人がインスタでアップ

 ↓

(3)バンド演奏動画をyoutubeにアップ

 ↓

(4)似たような趣向の動画からレコメンドで見られる

 ↓

(5)興味もった人がライブ探して行く

 ↓

(6)手売りインディーズCDを買う

 

これを繰り返して大きくなって有名になっていく

 

うちの娘(大学3年)はインディーズ発掘目利き能力があるみたいで、ししゃもとかあの手のそこそこ有名になったシンプル編成のガールズロックバンドをかなりマイナーなときに見つけて、まだ下北沢とかの小さいライブハウスでやっているようなときにせっせと足を運んでいる。

当時1000円の手売りCDが10000円で売れた~、とかよくやっており、話を聞くと上記流れであることがよくわかる。

あんたはどうやって新しい音楽を発見してファンになっていくのだ?と聞くと「youtubeのレコメンドだよ」と。

最近の子はインスタで見つけ、ツイッターで確認し、もはやググることもしなくなっているのだ。これは私の昼のIT系の仕事で20代前半の女子にも確認したので、大学生の娘の行動とも合っている。まあ、そういうことだろう。

 

さてさて、ところで、ジャズみたいなジャンルの場合はそうはいかない。

 

インスタアップするような年齢層のお客はほぼ皆無だし(FBはいるけど)、youtubeでマイナーなミュージシャンも見るのは演奏する上でのヒント情報を求めているビッグバンドやっている大学生の楽器演奏者が主であるハズだからだ。

で、たいていのジャズ演奏のみの動画は特徴ある世界的大御所ミュージシャン以外は誰かのフォロー演奏のようになるので語弊ある言い方をすると正直面白くない。

 

なのでJポップのインディーズからメジャーに向かっていくシーンのようなCD販売までの流れは作れない。

だとするとCDはアート的な閉じ込めツールとなるしかないわけだ。

 

CDのパッケージは画廊と同じような役割になるのだろう。

有名レーベルは有名プロデューサーの耳に適うという点で箔が付く。お墨付きが付く。このアーティストは芸術であるという証明だ。

有名画廊が画廊側企画で個展するのと同じだ。

 

インディーズCDは貸画廊だろう。たまに面白いと話題になることもある、…かもしれないがジャズジャンルでは皆無だろう。

だとすれば、名刺代わりに配布するしかないのだ。

ただ、CDは閉じ込めたパッケージとして、単品のyoutubeなどではないものは伝えることは出来る。

 

商業ではなく芸術として捉えると、腑に落ちる。

「芸術が商品になるのはイヤだね。 無償、無条件なんだよ」

と言ったのは岡本太郎

 

そうやってCD全体を作品と捉えると面白くもある。

アートワークとしてその人の主張がコンパクトに閉じ込められるパッケージとなるわけだ。

サウンドもそうだけど、ジャケット、配色、ライナーノート、全体としてその人(バンド)の主張のまとめとなる。

 

その買った2枚のCDより、私のジャケットのアートワークの方が確実に優れている、とも思った。

昔CGやっててデザインコンテストで優勝したりしたこともある(←大賞で100万円もらったこともあるのですよ)ので、昔とった杵柄というか、多少は活かせているかもしれない。

サウンドは好みがあるのでコメントしないが、「なんじゃこれ」を新規性とするのであれば私に分があるかな?

知り合ったミュージシャンがCD手売りしている場合、かなり買うようにしているけど、正直面白いと思ったりオリジナリティを感じることはかなり少ない。

 

まあそんなことをあらためて思った次第。

これからも興味ある人にせっせとお渡しすることにしよう。