リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

下手/上手い、と、音楽の良し/悪しは必ずしもリンクしない

台風がゆっくり近づき、夜から明日の朝にかけて東京都心も暴風雨になると。

 

昼に店のオーナー兼ママ兼ピアニスト兼ウエイトレスにメールして、「今日は営業しますか?」と聞いた。

バンマスと相談するとあり、しばらくして営業は少しするけど演奏はなしにするとの連絡が入った。

 

しょっちゅうライブをしていると、残念という感覚もない。

昔は演奏したくてしたくて仕方がなかったのに、なんという体たらく…。

 

毎日、明日の昼の仕事の予定は何だっけと確認し、会議、レビュー、中途採用面談、来客、人の相談(もめ事の相談等)などなどメンドクサイ予定が日常で、夜はちょろちょろジャズクラブのスケジュールが18:30→23:30と入れてある。

夜のこのスケジュール、そこそこ負担感もあるのだ。

毎日何があっても5:30起床を崩さないことにしている。昼の仕事へ行くためには激込み路線の電車に乗る必要があり、早朝の空いてるときに行くことを徹底しているからだ。

ライブの翌日の朝のスケジュールを見て、来客などで疲れる顔を見せるのは避けたいので、たぶん寝不足はどうしようもないが気を遣っているのが負担感になっているのだろう。来客が負担なのか前日のライブが負担なのかはよくわからない。

 

ただ、ライブも気楽に演奏しようと思ってレクリエーションみたいにふと思うこともある。楽しみだなぁ、って。

でもこれは演奏を真剣にする意思を持とうとするところからすると、オーディエンスに聴かせるには失礼な態度だろう。

その考えはアカンと思うようにして自身にプレッシャーをかける。それも負担?

 

演奏はスタンダードが中心なので、これが恐いところなのだが、気を抜いても演奏できてしまう。

構成もわかっているし、凝ったアレンジが指定されることは稀なので、出たとこ勝負でできてしまうからだ。

 

ジャズの合奏をするのに必死だった頃は、曲も知らないのが多いしついていくのに必死なので、演奏中に演奏以外のことを考える余裕はない。=ド真剣に音楽に集中している。

上達して曲も多く覚え、セッションも大量にこなして対応力がつくと、弊害として演奏中に演奏以外のことが頭をよぎってしまったり考え事をできたりしてしまうことが起こる。

 

下手なプレイヤーでド真剣にジャズ演奏している状態と、上手いプレイヤーが演奏以外の考えが頭によぎりながら演奏しているのはどちらがよい演奏でしょうか?

 

一般のオーディエンスはここは気付けないだろう。

が、耳おばけで真剣にジャズを聴くことに全身全霊をかけている人間はここを見破る。

 

私がジャズの世界に入ったときに足を踏み入れた大阪の「いんたーぷれい8」のママがまさにそれのみで音楽を判断する人なのだ。

下手でも冒険する、ここに音楽の神髄が出る!

毎年8月8日にハチママのバースデーパーティをやるのだが、今年も行ってきた。今年は都合上8月5日。

ゆかりが深い山下洋輔さんがコンサートをやった後で打ち上げセッションをやるのが恒例だ。

 

高齢になったので、この日しか店に出てこないハチママだが、今年は「あんたはエライ。あんただけがミュージシャンで毎年来とる」と言われた。当たり前でしょ、散々へたっぴなのに毎週ジャズ演奏させてもらって鍛えてもらったのだから、と思ったものの確かに毎年顔を出しているのは自分だけになってることに気付く。

大阪に住んでる当時毎週セッションに集ってた奴らも来てないではないか。。。

 

このハチママ、私は「おかん」と呼んでたが、恐ろしいぐらい人の音楽への集中度合いを当てる。

「あんた今日はアカンなぁ、もう演奏なんてすんな、帰れ。まったく集中できてへんわ、二度と来んな!」

なぜそこまで見透かすか、というぐらい図星だったのだ。

そんなこんなでギャーギャー罵倒されながらも、当時は深夜にいっしょにラーメン食べに行っておかんを自宅へ送ったりしてたのだが(笑)。

 

今年のそのハチママパーティー打ち上げセッションで息子のマスター(ピアニスト→私より10歳ほど上:最近は全然弾いてない)をベースの奴が強引に引っ張りだして演奏することになった。山下洋輔さんの前で彼の影響を受けたフリージャズをみなで演奏するというのも、ここでしか出来ない貴重なことでもある。東京では一切やる機会がないスタイルのジャズでもある。

ハチでの演奏は展開がどうなるかわからないので、久々に完全に音楽のみに集中した。初心を思い出すとはこのことなのだろう。

 

解説動画にしてみたので、どうぞ!