ジャズのお店とお客さんの入りの関係分析
ライブ演奏をやっているジャズクラブやジャズ喫茶とお客さんの関係、集客力は何種類かのパラメーターに分かれる。マーケティング視点で分析してみよう。
パラメーターは以下だ。
・オーナー(マスター)の人柄
・出演ミュージシャンの質
・チャージとギャラの設定方針(経営方針)
・店の雰囲気とロケーション(ハードウェア的要素)
オーナーのジャズや店に対する方向性が決定的な要素だ。企業で言うと社長であるわけだから、そこが起点となる。
まずライブの音楽スタイル(バップ中心とか、オーナー目利きで何でもありとか)。ここに強い意志が入らないと店につくお客さんはいなくなる。クオリティが保てなくなるのだ。
クオリティというのは音楽のテクニック的レベルという場合もあるが、テクニックは度外視してオーナーがこれは面白いというものをライブ演奏許容させることもある。
ここに店(オーナーやマスターの人柄含む)に対するファン化がおこり、ファンになったお客さんは店についているという言い方ができる。その店に行くと自分の知らないミュージシャンが演奏してても、オーナーセレクトの範囲で安心できたり、知らないカテゴリーを面白く聴けたりすることになるのだ。これらを通して、オーナーとの会話を楽しみに店に通うことが生まれたりする。
ただし、これには店側が努力しなければならないし、リスクも背負う。目利きがズレると誰も店のファンにはならないし、チャージ設定やミュージシャンへのギャラ支払は店が一定以上の責任をもつことになるからだ。
例え客が0でも、オーナーがブッキング責任を負い、ミュージシャンには指定のギャラを払わねばならない。
逆に客を引っ張ってこれるミュージシャンに頼りきるやり方も多く見受けられる。この場合は店のオーナーとしての基準は音楽より銭となる。チャージバック(ミュージックチャージの○○%をミュージシャンに返す契約)で最低○○人から集客してください、とノルマをミュージシャンに課すようなスタイル。
集客力ある有名ミュージシャンや外タレは、そうそう簡単にブッキングできるものではない。とすると、そこそこ集客してくれて頼みやすい人をターゲットになってしまう。OLだ。
ジャズボーカル教室に通うOLを数組出演させてバックミュージシャンをプロで固めるライブ構成。OLが一定のお客さんを呼ぶというのが出演基準であり、OLは歌いたい。
たまにライブをやるとお客さんも呼びやすいし、たくさん来てくれる。OLが呼ぶお客さんでジャズ聴く人はOLの会社関係で少し年配の方が多いので店的にはお酒も料理もまま出て、しかもまとめて数組出演させると店的には儲かる。ある種のビジネスモデルと言えるだろう。
が、音楽的クオリティは低い。バックミュージシャンは素晴らしいが、総じて聴くとダメである。発表会と同じ形式だから。
これを続けると店につくお客さんというのは皆無となる。当たり前だ。この形式をやり続けるしかなくなるわけだ。アマチュアロックバンドにチケットノルマを課す貸しライブハウスに銭に対する色気を足したようなものだ。
実際には両極端ではなく、その間をやっていたり、ライブによって行き来したりすることが多いかもしれないが、ライブ中に「ちょっと歌わせてほしい」と言ってきたOLや親父ボーカリストを店側がすんなりシットインOKとするか、ちょっと待てとオーナーがその人を吟味して断るときは断るかが分かれ目かもしれない。
そんなわけで、お店にもミュージシャンにもほどよくお客さんが付いているのが新しい交流も生まれていい状態だと思うのでありますが、ジャズの店のオーナーはどこまでそういうことを考えながら経営しているのかはよくわかりません。背に腹を替えられぬ、で已む無く発表会形式にいっちゃったのかもしれないけど。
さて、マーケティング的に見て分析合ってますかしら。。。