リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

映画「セッション」にプチ絡み

へんな映画があってさぁ、それの音楽用語の翻訳頼まれちゃった。

 

いつも演奏しているヒロ川島さんがジャズバードのライブのときにそう言った。

 

翻訳者は音楽用語わからないので自分がやることになったんだけど、ドラム用語がわからなくて、ちょっと教えてと。で、ルーディメンツとかそのたぐいのドラム用語を川島さんは私に聞いてきた。
その映画がデミアン・チャゼル監督のアカデミー賞3部門をとった「セッション」だった。
封切り前なので、へんな映画とはその通りの評だったでしょう。
まさかアカデミーとかそんな展開になるとは想像だにせず…。
私は別に手伝ったわけでもないけど、どういうわけか私もGAGA本社での試写会にも呼んでいただいた。

菊地成孔さんの酷評が有名になったみたいだけど(←最近知った)、ジャズドラマーから観るとおかしいところたくさんあるよね。第一どんだけやっても血は出ない。シンバルに汗はつかない。ウッドベースは素人がやると血が出るけどw
でも、サイコホラー的なスポコンの素材としてビッグバンドを取り上げたのは面白い視点。
翻訳者の川島さんの評が実に的を得てた。

 

スポーツは根性モノが昔はあり得たけど、ここまで科学トレーニングが一般にも知れ渡るとそれをスポコンドラマにするとウソがバレバレとなる。だけど音楽ってよくわからないし、ジャズやビッグバンドは裏がわからなくてその手がありそうじゃない?

そこをうまく突いてる。

 

なるほど、確かにテレビでもスポーツ選手の科学的トレーニングは日々目にするけど、皆できっちり合わせる音楽の裏は確かに「何か恐ろしく厳しい指導が行われているのではないか」と闇を想像できるw
素材がドラマーってのもわかりやすい視点だと思う。管楽器とかだとコード(和音)への合わせが出てくるので知識がついていかない。ドラムはリズムを合わせるかどうかなので、かなり素人目にもわかりやすい。
とは言え、映画で何度も「違うっ!」ってビンタされるシーンは普通の人には違いがわからなかったみたいね。私はドラマーだから、あのシーンでドラムがわざとずらしたり甘いリズムを叩いているのがわかるけど。

でも、その業界の人が、あれは違うって言うのも度量が狭いと思われちゃうかもしれないね。
例えば工事現場の現場監督を取り上げたドラマで面白いものがあったとして、建設業界の人にあれは全然違う話にならん、とか言われても興醒めするだけだろうし、そういうもんでしょ。
私は「全然違うけどめちゃ面白いよ」って言ったり、「ジャズドラムってあんなに厳しいんですか?」と聞かれて「そうだよ、あれが普通だよ」ってブラックジョーク的に答えたりしてた。
そもそも邦題を「セッション」としちゃった時点で違和感あるわけだけどね。原題は「Whiplash」鞭打ちとかドラマーが陥るむちうち症の意味らしいけど日本語では浸透してないから無理くりだったのでしょう。
まあ、でも製作費安くしてアカデミー賞で評価されたのはよかったですよね。右から撮ったものの左からのアングルで編集したいと、反転させてるシーンもあったみたいだし。

そんなこんなで鬼教官のフレッチャー見てるとパロディ動画を無性に作りたくなり、自虐ネタをやってみたのでした。おー怖っw