なにがジャズたらしめるのか
プロミュージシャンとのライブやBGM仕事、アマチュアミュージシャンとのどしゃめしゃジャズまで、ジャズ演奏と言っても範囲は広い。
CDショップにおけるジャズというジャンルを見てもかなり広いことに気付く。
この広い範囲…、実は問題なのだ。
オーソドックスなボーカルからフリージャズまであるし、最近だとヒップホップ寄りのものまであるし、もはやポップスの歌なしにも聴こえるフュージョンまでジャズコーナーに位置する。
それでいて、ジャズファンと話をすると、自分が思っているこだわりから「それは俺に言わせればジャズじゃないね」というセリフはよく聞かれる。
ジャズコーナーで買ったんですけどぉ…。
いわゆる本格的なジャズが好きなジャズファン(←この言い方からして怪しいのだが)は、なんとなくの範囲をもっていて、ジャズミュージシャンはその範囲がなんとなくというか、ほぼ的確にわかったりする。
素人というか、例えばOLなんかが「私、ジャズ好きなんです」と言って「え、そうなの? どういうのが好きなの?」と聞くと、「ケニーGとか素敵ですよね」(←それはジャズちゃうやろ!:心の中で)なんて会話がよくあったのは20年ぐらい前の話か(笑)。
さて、ジャズミュージシャンから見ると、ジャズボーカルのバックのようにけっこうきちっと演奏する感じから、ガチのインストで始まらないとどういう方向に行くかわからないセッション的な感じのものまで、その各々の心地よさだったりをきちっと捉えている。
そして、ライブの演奏者の組み合わせやステージの場だったりで演奏方法というかノリというか臨機応変度合いを分けていく。
ジャズが好きな人の一つの好みとして、ぐちゃっとしてドシャっとしたような不協和音的な音の圧力が生じるところに「イェーイ!」と来るポイントがある。他のジャンルは予定的にそういう音を作っていくところはあるが、ジャズのこのポイントはあくまでも偶然性ぐちゃっとしてドシャっとなるのが発生する音楽でもあり、オーディエンスはそれを待っているような側面がある。
このポイントに来るまでは4ビートが最適で、ウォーキングベースの疾走感がこれを最高に味付けていくのだ。フリージャズになるとぐちゃっとしてドシャっという場面は多くあるが、一定のスピード感を感じながらというのは無理なのだ。これを作るのがウォーキングベースの役割で、これが一つのジャズの最大の特徴だろう。
このぐちゃっとしてドシャっとするポイントは和音やコード進行は関係ない。疾走感の中であちこちにぐちゃっとしてドシャっが出ると、それをジャズっぽいと感じることは可能だろう。
ということで、美しいメロディやコード進行はなくて、その疾走感とぐちゃっとしてドシャっを散りばめる動画を作ってみた。
ピアノが弾けない私でもてきとーに作れるのだ。
何がジャズたらしめるのか…。この問いはけっこう面白い。
服が買えない、財布が買えない、靴が買えない
そうなのだ。基本、着たきり雀なのである。
財布が相当くたびれて、皮の部分が艶がなくなり、なんだがベタベタしてきた。
さすがに買おうかと思い普段まあ寄らない百貨店というかデパートを少しうろうろしてきた。
いらっしゃいませー
逃げる。
店員がニコニコして、そっと近づいてくる気配が…
逃げる。
銀座だったが夜遅い時間帯で空いてたせいもあり、あれこれウォッチする環境にはなく、いいなと思うものも少し見つけるもそそくさと出て来た。
かっこいい財布は24000円。今のが10000円ぐらいだったが、せっかく毎日持つのであれば思いきって奮発するか?
でもでも待てよ…
24000円だと、もう少し足すとシンバル買えるかもしれない。
一度ぐらい使ってみてもいいかもしれないエフェクトシンバル類なんかもいいかも。
服とか財布とか、少し値段張るものをセレクトしようとすると、なぜか比較対象にシンバルが頭の中に出てくるのだ。シンバルはいいのを逃すともうその個体とは出会わないので、とにかく買うことを考えるが、服とか財布だとそうはならない。
別に今の服でもおかしいわけではないので、まあいっか…。
こうやってyoutube動画の数年前と同じ服を着て恥ずかしげもなく新作動画を作ってしまったりする。シンバルはおニューも使ってるけどね!
誰かが「その財布いいやん!」と背中を押してくれないと、シンバル比較に負けてずっと買えない人なのかもしれない。ダメだこりゃ…。
聴覚における視覚の影響の大きさ
よく言われることだが、耳より目から入る情報の方が情報量が大きく、脳の処理もたくさんしなければならないことがある。
目で見て耳で聴いていると、脳は処理限界があり、すべてを捉えているわけではない。
テレビで消音にしてみると、普段見慣れているCMにおいて、多くの視覚的発見がある。
耳からの情報処理で普段気付かないものがたくさん見えるのだ。
youtubeで音楽を聴くと、CDで音だけを聴いているときより映像が補間する情報が多すぎるため、リッチな感覚で向き合っているように感じているハズだ。
ただ、サウンドだけで聴くとボロがわかるようなことに気付かないことも多いだろう。
これは有名な爆笑動画(よく思いついて作ったもんですw)だが、爆笑して「あ~おもしろかった」と思う以外に、深い洞察を得られる。
誰もが知ってるあのかっこいいマイケルジャクソンの有名PVだが、サウンドを変えるだけでこうも人が捉えるイメージの感覚が変わるものかということを体感できる。
視覚だけ、聴覚だけ、組み合わさったとき…、我々が受けるイメージでかっこいいものと思うもの、かっこ悪いと思うもの、この正体は何なのだろうか。
それを逆にとったアーティストが、これも超有名になったこの動画。
音楽も映像も、人は今まで見てきたもの耳にしてきたもので、かっこいい/悪い、おもしろい/つまらない、素晴らしい/ダメダメ、などを判断している。
こういうのを観察して考えると実に面白いし、何かユニークな視点で映像を作れるような気もするのだ。
失敗演奏を動画コンテンツにしてしまう?
別に「見てほしい!」と動画を作っているわけではないが、動画製作は面白い。
テキスト表示のタイミングなど微妙なところの調整は、なぜこれが気持ち悪くて、こうすると感覚的にいい感じになるか、などを考えることも多く、人間の感性とは何だろうかと想いを巡らせるようなこともある。
ジャズ演奏をコンテンツとする場合、ライブ演奏ステージをアップしようとするのが普通だろう。しかも、よい演奏をアップしようとセレクトするハズだ。
ところが…、ところがである。
音楽以外の映像、例えばスポーツ映像のことを少し観察してみると素晴らしいフェアプレー集と同じぐらい魅力的なのが珍プレー集であることに気づく。
失敗しようと思っているわけでもないが、失敗することを見るのは笑いもあるものの、根底ではそこから何か得るものがないわけでもない。
そこまで考えるわけでもないが、ジャズも予見できないようなところがあるので、同じ観点が考えられる。
ジャズはその場で合わせていくような側面も多く、同時に自分が安全に演奏できるプレイの範疇から脱しようとするところに人間的魅力も出たりするので、それがファインプレーとなる場合以外にミスる場合もある。この演奏上でのミスはスポーツのプレイみたいにわかりやすいものではないが、解説すると「なるへそ、思ってたけどミスったのね」というのはわかってもらえるものは提示できる。
まあ、そんな感じで作ってみたのがこれ。
↓
あちこちミスって、けっこうマズい演奏でもあるが、コンテンツとしては成立する。かな…?
竹ひごスティック
15年ぐらい前だろうか、竹ひごを束ねたスティックみたいなものが発売された。
マルチロッドという。
興味もなかったが、ホテルBGM仕事でクリスマスディナーのバックをイブの日に5ステージやるときに、どういうわけかスティック禁止でバンマスからマルチロッド指定と言い渡された。
バンマスもブッキングマネージャーから言われて、マルチロッドって何?って(笑)。
えー、と思ったもののまあ買うことにして、その5回のへんてこりんな仕事はこなした。
ブラシかスティックで事足りるし、あえてそういうものを使うというより、どちらかで表現してやろうと思う方が強いというか、まあそれ以来使ったことなかったと思う。いや、ホテル仕事は2、3回か使ったかな…?
年に3回ほどトムハレルのカバーバンドというかコピーバンドをやってて、そこでふわふわと浮遊するような曲があった。アルバムもたぶんマルチロッドで入っていると思うのだが、まさにブラシでもスティックでもなくて、これが最適な曲想だったので使ってみることにした。
ライブはジャズ喫茶だったのでデッドな環境だったが、ちょっとだけリバーブ入れて編集してみた。
こういう曲は、竹ひごも面白く使えるなぁ、と思った次第。。。
さて、次はいつ引っ張り出すことになるやら。
音楽デリバリーが急速に一般化している
ディストリビューションサービスであっという間にAmazonでの楽曲販売が出来てしまった。
Amazonで売ってるw
iTunesで売ってるw
以前なら録音用スタジオでエンジニアつけて録音し、マスタリングをし、音源を媒体にプレスし、ジャケットをデザイナーに頼み、印刷所に回し、流通に乗せる、という手順だろう。プライベートでパブリッシングするとしても数十万円後半はかかる。
これが、練習スタジオ個人練習で3~4万の4chハンディレコーダーで録音し、普通のスペックのパソコンでサウンド編集とマスタリングをし、ジャケットをPhotoshopでちょいと加工し、ディストリビューションサービスをポチっとな、で全世界に配信出来てしまうわけだ。
ひぇ~(°д°;;)
数十万円→うまくやると1/100だね、これ。
しかし各種プロが携わらなくてもデリバリー出来るということは、製作過程での人が関わることでのフィルタリングがかからないということになり、膨大な楽曲が販売向けにデリバリーされることを意味する。
これはロングテールみたいな領域で世界中のニッチなコアファンに届くということでもあり、あまりにも膨大な数ゆえに、見向きや発掘さえもされない可能性も大きいという理屈にもなるだろう。
AIがどんどん発展すると、現在の主流アルゴリズムである売れた関連(この商品買った人はこれも買うこと多いです)レコメンドから早晩楽曲の内容分析と利用者の好み分析のマッチングに進化していくだろう。
そうなるとニッチなコアファンが見つけやすくなり、ロングテールの先っぽの方でも世界中でのマッチングが成り立つ可能性もある。
面白い時代であるが、既存の仕組みにとらわれ、通常の著作権管理団体に著作物を預けて既成のパブリッシングを盲目的にやっていると、時代が進んだことに気がつかずにチャンスも小さい範囲というか今までの範囲からは変わらないこととなる。
なんてことを各種配信一週間で坊主の私が言ったところで説得力は0なのでR
ジャズってアドリブなんだよ、すごいだろ。←という人は間違い
アドリブソロを次々と交代するジャズという音楽は、よくわからんけどすごいなぁ、という憧れをもっていた。30年前の話。
どうやってソロをするんだろう。
あの人たちはなぜ人のソロの終わりがわかるんだろうか?
共演メンバーとサウンドを合わせるってどうやってるんだろうか。
フュージョンドラムを追いかけていた頃ですら、ことジャズとなると皆目わからなくて、バンドメンバーともそういう会話をしていた。でも、なんだかめちゃめちゃかっこいい、と。
それからほどなくしてジャズのジャムセッションに通い、演奏するたびに訓練される感じでセオリーみたいなものが見えてきて、まあ理解してしまったのだがプロミュージシャンなんかでもけっこうアドリブやる特殊性をお客さんに自慢というか「すごいでしょ」的に話をする人もいる。
知らない人からすると「すごい」けど、将棋のすごい指し手を見て「すごい発想だ」とわかるのはその道を長くやっている人と同じで、素人からするとわからんだけの話だと思う。
たぶんジャズのアドリブは誰でも少しやれば出来るようになりますよ。
ジャズで本当に凄いというのはその先の話であり、音の出し方入れ方の個性が強烈な人、比類なき超絶技巧の人、音楽そのもので先進性解釈を入れる人、まあそのぐらいなのではないだろうか。
ま、そんなことを考えながら、とくに先進性もないが構成含めてアドリブで演奏していく流れをドラマー視点から解説してみました~。