リーマンジャズドラマーのブログ

サラリーマン兼ジャズドラマーの思うところ

ミュージシャンはスポーツに気をつけないと…

数年前の話だが、子供のサッカー大会で転倒し、左手首の中の骨を折ってしまった。
舟状骨骨折というギブスを2ヶ月以上のややこしいところだ。


5、6個のバンドをやっていたので、即座にすべて向こう3ヶ月のライブ予定をキャンセルし、トラ(代理ミュージシャン)を頼めるところは頼んだ。
幸い復帰後にバンドを1つもクビにならなかったのだが、ギブスをとった次の日にあったライブはさすがに気を揉んだ。


復帰ライブは表参道ジャズバードのオーナー兼ママ兼ピアニストのミヨさんライブの日で、昨日ギブス外したばかりと言うと「病み上がりだから全編ブラシでいきましょう」と。
で、始まってみるといきなり1曲目からアップテンポでいくらなんでもスティック。
ついジャズドラマーの性で盛り上がるとリムショットをカンッと入れてしまう。
その度に骨折したところにピキーンと響いたので、これはまずいなと思ったものの、あれはミヨママわざとやったんだろうか。

サラリーマン兼業ミュージシャンはFacebookに要注意!

サラリーマンの職種にもよるけど、夜な夜なミュージシャン仕事をしている人はFBに気を付けた方が無難と思う。

昨今の残業しない方向の働き方改革で、随分見え方も変わってきているが、夜演奏仕事を控えていると昼の仕事はなんとか素早く退社するために、めちゃめちゃ集中してやることになる。本来はWワーカー的仕事があろうがなかろうが、めちゃ集中すべき事項であるが、まあ見てるとゆったりやっている輩は多い。

速攻帰るために昼飯もコンビニで買ってきて、食いながら仕事をしていることもある。

 

立場上責任ある役職についていくと、まあ仕事はトラブルの問題解決を多くやっているような状況になる。夜、部下に頑張らせることもある。

「ちょっと出るけど、近くにいるから最悪電話しろ。戻るから」

なんて言いながら、ライブ仕事をしているところがリアルタイムにFBなんかでアップされると、さあ立場がなくなるわけです。

 

FBはプライベートだけ、と宣言したとしても例えば取引先のかなり上位役職者がフォローしたいと言ってきたとして果たして断ってよいか、とこういう問題になる。

お客さんがライブ終了後にFBアップしたいから、ミュージシャン全員と写真撮らせてくださ~い、ってのはちょろちょろある。昼の仕事でトラブル処理を夜遅くまで部下がやってたとして、FBでニコニコしている写真が。いやいや考えるだけでよろしくないわけです。

ということを考えると、やってはいけないSNSということになるのですよ。

 

今週発表されてたどこかの調査で、今の大学生のFB利用率が下がり、たったの16%という記事を見たので、FB危険視することでもなくなりそうでもありますが。

MCが苦手なバンマス

精神科医兼ピアニストのDr.Kはバンマスなのであるが、ライブではMCが出来ない。「始めまーす」、「終わりまーす」ぐらい。

人前でしゃべれないタイプかと言えばまったく違い、医者をやりながらもドクターでしょっちゅう学会発表されている。大勢の前でマイク握ってしゃべっているわけだ。

でも、MCはダメ。

トランペッターのヒロ川島氏が遊びに来てくれると、「このバンドはみなさんシャイで通りすがりのわたくしがMCをさせていただきます」とバンドにどっぷり入ってくれるので、本人ホッとしてたりする。

 

ある時、お客さんがそこそこ入ってたときにお店のママに、メンバー紹介ぐらいもうちょっとしたら?、とか言われた。

で、セットが終わる際のMC。

緊張したのか、「ベースは、えっと、ええっと、あのー、えっと、誰だっけ?」と。

十年以上いっしょに演奏活動している横山裕氏の名前をド忘れするという、ドラム叩きながらも爆笑してしまいました。

ミュージシャンは必ずしもアーティストではない

音楽やってると、たまにアーティストなんて紹介されたりするが、サラリーマンもやっているので違和感はある。というか、サラリーマンは関係なくて、アーティストの定義があまりにも曖昧に使われているというのが本当のところだろう。

 

芸術家?

アーティスト?

 

自分で名乗る人は十中八九怪しいかもしれない。

芸術、アートは単に音楽や絵画などの表現をさすものではない。新しい解釈を提示しようとしているか、社会の課題に対してこれはどうだと表現として表しているか、そこに美の解釈を埋め込もうとしているか、というところではないだろうか。

ジャズで言うと、1960年代の一時期の演奏形態を真似て、素晴らしく演奏したとして、それはアートではない。伝統芸能のトレースだ。

 

プロミュージシャンはアーティストか、と言えばプロかどうかとアートかどうかは軸が異なる話なので関係ない。職業ミュージシャンはアーティストではない。趣味的に音楽を楽しむ人でも新しい表現を試みる人はアーティストと言える。

自分で言うのではなく、その表現を解釈した人がその人を見て新しい表現だと言えば、言った人から見てその人は確固たるアーティストだろう。ただし、見た人が知識不足であり、同じ表現形態がどこかで提示されていると、世間的にはアーティストとはならない。

 

なので、「本日の出演アーティスト」とか安易に使うケースは雰囲気だけで使っているわけであり、演奏者もそういうのに慣れてしまい「私はアーティスト」と言ってしまうのはすごくカッコ悪いことなのである。

まあ言葉の意味はどんどん使われ方によって変化するので、人の真似をしようが表現をする人のことを「アーティスト」ってことになりつつあるのかもしれないが。

ストリートは道路交通法違反に気をつけろ

2ヶ月に1度いっしょにライブしているアルトサックスの横ちゃんは毎日渋谷の交差点でストリートをやっていた。そう、やっていたのだ、つかまるまでは。

ストレートなジャズをやっても新しい明るいセンスでお客さんをもっていってしまうプレイヤーで、彼がバンドにいるとサウンドがビシッと締まる。

ライブの後でも毎日渋谷に行き、終電までストリートをやるのには感心するというか、熱意のすごさに感嘆するのだった。あの電車が止まった大雪の日にもやっていたというから恐れ入る。

しかもサックス吹きながらコンピューター持ち込んでDJをやるというかっこいいスタイルで、毎度人だかりができる。渋谷駅のコインロッカーがDJ機材置き場だ。インバウンドの方々は遠慮なく踊る。若者も踊る。サラリーマンは足を止める。私も何度か見にいったが、一度は年配ホームレスの方が控えめに踊り、イェーイと声をかけていた。素晴らしい光景だった。

そして、巡回のおまわりさんが来ると止められて終了。始末書を書かされる。毎日。

道路交通法違反だそうな。

すぐに止められるケース、少し待って区切りで止められるケース。2時間ぐらい演奏できて街頭がクラブに化けることもちょこちょこあったらしい。

 

話を聞くとおまわりさんとの友情みたいなものも垣間見れる。

・明日から持ち場がかわるから今日で最後とあいさつしてくれた

・君が一番客を惹きつけてたね、と講評してくれた

・あなた用の始末書を用意しましょうか、と冗談を言ってくれた

などなど。

ところがサミットがあるとかで、警戒にあたるときは普段と違うおまわりさんが投入されるので、かなり厳しく怒られたりしたらしい。渋谷のストリートは生々しい。

 

そして、ある日起こらないと思ってたことが起こってしまった。連れていかれてしまったのだ。

一晩過ごし、17番と呼ばれ、いっしょに中にいる人にお前はどんな悪事を働いたのかと聞かれストリート演奏をしたと言うとそんなことでつかまるのか、と驚かれたと。

 

気の毒で本人はかなりトラウマ強く残るような体験をされたが、話を聞くほうは悪いけどかなり面白い。

「17番、ミスなくこれを吹かないと出所はできません」と言われ難曲の譜面を渡され、一切間違えることができないすごいプレッシャーで演奏する夢にうなされると。

サックス吹いてつかまったのがごちゃごちゃにミックスされてそういう悪夢にうなされるのはわからんでもないが、まだ引きずっている本人を横にしながら爆笑してしまった。

 

渋谷の交差点横でDJやりながらアルト吹く姿はかっこよく、実に都会の絵になったが、さすがにその風景は終わってしまったのでした。

何かと苦労のある野外ステージ

あまり野外ステージというのは経験ないが、演奏者にとっては何かと苦労が多い。

まず、音のバランスが悪い。

出音と中音というのがあり、お客さんが聴いている音が出音で、ここが一番いいバランスにPAは調整される。中音は演奏者側の音で、モニターという演奏者向けスピーカーを使うこともあるが、各楽器の音がうまくバランス取れて聴こえることは少ない。

あと、風だ。譜面は飛び散っていくので、洗濯バサミが必需品となる。私は譜面見ないから、関係ないが、みなさん苦労してます。洗濯バサミで挟んでも、めくれて見たいところが見えないなんてこともしょっちゅう。

昨年、初めて渋谷のストリート音楽フェスに出た。抽選補欠みたいな扱いで、会場一番端っこの小さな公演のステージを日曜朝一番という、客おらんやろ、という出番だった。

朝は雨で次第に晴れるかも、という天気予報だったが、雨は大丈夫だった。

ここでの問題は雨降るかもで設置されたテント。これが暑い。映像は爽やかに見えるが、ムンムンの暑さなのだ。一切風も入ってこない。

20分程度の演奏時間だったので、まあ楽しくできました。お客さんは数人だったけど、聴いていってくれました。

ジャムセッションに行ってバーテンダーとなる

何年も前の話だけど、いっしょに演っているプロメンバーがジャズバードでセッションを開催することとなった。
日曜夜なので通常営業ではなく、予めおいてあるワインなど、限られた種類のドリンク類とピーナッツ類のみ出して参加者から楽器演る人と聴く専門の人別でチャージを徴収するという仕組みだった。バーテンダーもいないので、いつもオーナーのミヨさんと常連お客さんがキャッシュオンで飲み物を出すという役割で運営されていた。
ある日、開始時間ちょうどに遊びに行くと、ミヨさんが困った困った急遽出かけなきゃいけなくなったと言う。どうせミュージシャンしか来ないし、私がバーテンダーというか飲み物出す係をやりますよ、ということでミヨさんを帰し、ホストミュージシャンと運営することになった。

卒なく1時間経過したとき、ドヤドヤと明らかに演奏者ではないお客さんが入ってきた。

 

「営業してないの?」

「営業してますが、通常営業と違いまして、演奏する人が集まるジャムセッションというのをやってます」

「いいじゃん、飲めるんでしょ」

「フードとかありません。お酒もこのメニューしかありません」

 

おもいっきり断りモードでお伝えしたものの、「飲み物だけでいいから頼む」と言われ、なんと25人ほどが強引に入店してきた。
私はミュージシャンやってるときは、あまり自己主張してたりテキパキ動いたりしないんだけど、こうなると話は違う。ジャムセッションのホストリーダーと特別チャージ料金を決めて「さあ、酒たくさん出すぞぉ」って昼の仕事で得意になった段取りを始めてすべてのお客さんを捌いていった。

 

「赤ワイン」、「ロックダブルで」、「1つ水割りにして」、「生3つ」、「なんか乾きものでいいからないの?」、「炭酸で割ってくれない?」
 

慣れないのでちょいとクレームみたいになることもあったが、そこもニコニコしながら上手く場を収めて対応した。私は演奏に参加することはできなくなかったものの、その急場の忙しい仕事はそれなり面白くてお客さんにたくさん飲んでもらうことに成功し、ある種の達成感を感じていた。


セッションはチャージを店とホストバンドのギャラでシェアするという仕組みなので、大人数の団体はホストミュージシャンにとって予定外のうれしいギャラとなった。
「あんな大量の客をスムーズにさばくとは思わなかった、めちゃ助かった」とホストミュージシャンに言われたが、サラリーマンとしての段取り能力を出しただけの話。昼の仕事でトロトロやってたら話になりませんもんね。
私はいらないと言ったのに、ミュージシャン取り分ギャラからバーテンダーとしてのギャラを分けてくれた。